“根無し草”からの脱却
元は「知らない土地だったところ」で、多恵さんはとても人間らしい生活をしているように感じられた。
毎日、家でご飯を食べる。
知り合いとは、ネットだけでなく、リアルでもちゃんと会話をする。
近所の人たちと飲みに出かける。
年代を超えた人たちと交流する……。
地域おこし協力隊は一年ごとの契約で、最長3年まで延長した後は、町に定住するか、東京に戻るかを、隊員本人が決めるのだが、多恵さんはきっぱりと言い切った。
「私は町に骨を埋める気持ちで来たので、3年後は自分で生計を立てていけるよう、今から自立の道を模索しています」
この先どう変わってゆくかは、誰にも……もちろん多恵さん自身にもわからない。
しかし42歳の多恵さんは、今、人生で初めて、“根無し草ではない生活”を手に入れたと感じている。
画像:iStock
注:地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化等を食い止めたり、地域の活性化を図る目的で、外の人材を積極的に受け入れようとする総務省管轄の制度。2009年度にスタートし、2014年度には全国444の自治体で1,511人の隊員が活動した。期間は1年以上3年以下のところが多く、給与は平均16万円程度。いずれも地方によって異なる。
→地域おこし協力隊サイト(http://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/)
⇒第7回に続く。
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