世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月18日

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 王力雄という著名な政府に批判的な人物は、政府の新疆政策は宗教的寛容と政治的自治を強調するウイグル族の中の穏健な声を消滅させるという結果をもたらしたとする。王は「政府は人々を下僕か敵かの二択で考えている。彼らは中間にいる者と接することができない」と話す。

出典:Tom Mitchell,‘China’s Great Game: New frontier, old foes’(Financial Times, October 13, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/60f33cf8-6dae-11e5-8171-ba1968cf791a.html#axzz3oyN90JXv

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ムスリム世界との関係占う新疆政策成否

 この論評は、正確な分析であると思います。中国の新疆ウイグル政策決定者は、歪曲された自己中心的な視点の制約を受けており、異文化に対する知識不足という大きな限界を持っています。

 新疆の少数民族問題は、チベットよりはるかに困難です。チベットは本質的にチベットに限定され、国際的広がりを欠きます。しかし、新疆のウイグル族は、民族的にも宗教的にも大きな国際的コネクションを持ち得ますし、現に持ち始めています。さらに、チベット族が628万人なのに対し、ウイグル族は1000万人を越えます。

 中国がさらに西進すれば、その地域に存在する現実の諸問題に関与せざるを得ず、そこでの対立抗争に必然的に巻き込まれることになります。大昔のシルクロードは、中国の富を目指して異邦人が自己責任で中国にやってきたのですが、今度は自分たちが出かけて行こうとしています。中国は最近ロシアのシリア空爆を支持し、支援することを決めたようですが、中国のこの地域の問題への関与の深化と国内でのウイグル族の圧迫の継続は、中国とムスリム世界との関係をさらに複雑化させるでしょう。

 同時に、中国が現行の新疆政策を変えない限り、新疆の状況は悪化し続けるでしょう。しかし、習近平自身、昨年4月に新疆を訪問した際、発展を通じる民政の向上は強調しましたが、新疆政策の根本には手を付ける気配はありませんでした。

  
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