2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2015年12月25日

相手を思いやるキャッチボール

準決勝からはチームにプロ選手が監督として参加。本気の子どもたちに、プロ選手も力が入った

 準決勝は、小学・中学各27チームから勝ち抜いた16チーム。マスカットスタジアムに入場し、小学生の部からスタート。ボールを後ろに逸らしてしまうと致命的だが、大きなミスも少なく、真剣にボールを投げ合う子どもたち。準決勝からはチームの監督として、プロ選手が1チーム1名ついて、アドバイスをしてくれたり、緊張をほぐしてくれたり。「中学生は特にすごかったですね。僕らプロよりも速くて、ミスもなかったですし」と語ったのは、横浜DeNAベイスターズの須田幸太選手。

 優勝は小学生が兵庫県の西脇ワイルドキッズで116回、中学生が石川県のかほく市立高松中学校で139回。2分で行っているので、1秒に1回以上キャッチボールを繰り返していることになる。決勝戦後、小学・中学の1位と2位、また女性の部、一般の部で優勝したチームがプロ選手と対決するエキジビションマッチが行われた。プロチームは、野手選抜と投手選抜の2チーム。リズムよくキャッチボールをするも、中学生の2チームは10以上もの差をつけてプロに勝利した。

 ヤクルトの上田剛史選手は、「ホントに技術が高かったですね。それに決勝では負けて泣いている子もいて。それくらい一生懸命やっているのはこっちにも伝わりましたから、僕もかける言葉に熱が入りました」と話した。

 「キャッチボールって、肩を作るための練習だと思っている選手が多いと思います」と語るのは、日本プロ野球選手会の加藤諭氏である。「プロとアマチュアの差はキャッチボールができているかどうか、に見られます。毎年新人選手として入ったプロ選手は、キャンプでまずキャッチボールの指導を受けます。特に高卒選手はそうですね。プロとの違いはやはり送球にあると思いますが、それはキャッチボールができているかどうか、なんです。普段からキャッチボールを正しくすること、つまり相手のことを思いやってやる投げることができれば、野球の試合にもつながっていくと思います」

エキジビションマッチでは、プロ選手もキャッチボールクラシックを行ったが、この日のために練習を積んできた中学生のスピードには敵わなかった

 キャッチボールは、野球の基本であり、野球を始める第一歩でもある。日本プロ野球選手会が振興するキャッチボールクラシックは、競技としての性格が強いが、ベースボールクリスマスは、もっと野球を好きになれる、野球の楽しさを感じられるきっかけがたくさんあるイベントで、こうしたイベントが組み合わさって行われていることで、野球の楽しさが広がっていくように思う。熱戦を繰り広げた小中学生たちを見て、久しぶりにキャッチボールがしてみたくなった。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る