歴代オスカー像に訪れた“不運”
売買で一番話題になったのは、第12回で受賞した「風と共に去りぬ」の作品賞のオスカー像をあのマイケル・ジャクソンが154万2450ドル(約1憶4000万円)で購入したのだがオスカーの売買は禁止されていたためこのオスカー像は1ドルで没収されてしまう。また同じく「風と共に去りぬ」主演女優賞を手にしたヴィヴィアン・リーのオスカーがなんとサザビーで競売され51万ドル値が付いたこともあった。スピルバーグは2体のオスカー像を競売で落札したうえでオスカーは映画界の貴重な財産であるとしてこれをアカデミー協会に返している。
可哀想に第2次大戦中(1042~1944)のアカデミー賞では金属を使えなくて“石膏”のオスカーだった。戦争が終わったあと石膏のオスカーを受賞した人にはちゃんとした本物の金属製のオスカーが手渡されている。
アカデミー賞にはこの“クラスⅠ”と呼ばれるオスカーが最高の賞でほかに“クラスⅡ”の楯と“クラスⅢ”の表彰状と三つの賞が用意されている。オスカー以外の賞はアカデミー賞授賞式の事前にそれぞれ該当者に手渡される規則になっている。
さて、あと12年もすればアカデミー賞は100回目を迎える。この100歳を迎えるアカデミー協会はその時どんな仕掛けで世界に誇るアメリカ映画の大イベントであるアカデミー賞授賞式を世界の映画ファンに見せてくれるのだろう。巻頭で述べた魑魅魍魎、奇々怪々などの4字熟語の魔法の手を緩めずもっともっと多くの魔術を使いながら誰にも予想も想像もつかない摩訶不思議なアカデミー賞を提供してくれるだろうと思うとまた楽しみが増えてきた。
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