Wedge REPORT

2016年8月29日

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 「市長は新たに新幹線の長崎駅が開業する22年までに施設を完成させたいと思っているはず」という声を長崎市内では耳にした。議論噴出のこの施設の今後に注目だ。

巨大な施設の建設が計画されている長崎駅西側の広大な用地(写真・Wedge)

 九州では、今回取材した長崎市、久留米市以外に福岡市、熊本市、鹿児島市などでもMICE施設建設計画が進行している。こうした建設ラッシュには、すでにMICE施設をもつ自治体も戦々恐々としている。

 95年に建設された別府市の別府国際コンベンションセンター(B-ConPlaza)の館長を務め、誘致も担当している井上薫氏に現状の開催実績について聞くと、「2000~3000人が集まる大規模な会議、学会などについては、年に数回程度です」という。

 「別府は温泉が売りですが、コンサートやスポーツなど色々な催しを含めて積極的に誘致活動をしないと厳しい状況です。九州各地で建設が予定されているMICE施設が完成した後はさらに競争が激しくなります」。MICEの誘致が厳しい状況にあることが強く窺えた。

 また、九州以外にも、高崎市、横浜市、名古屋市、沖縄県など全国各地で計画が進行している。MICEを開催できる施設数が増えたところで、会議や展示会が急増するわけではない。世界各国で国際会議などのMICE誘致合戦が行われている状況において、日本の至るところでMICE施設が建設されていけば、「ゆくゆくは誘致競争に負けた施設が地元の催しものを行う公民館のような施設として使用される可能性も高い」(業界関係者)という。

巨大施設建設の必要性を説く〝黒幕〟と呼ばれる企業

 取材を進める中で、複数の関係者から、「全国各地でのMICE施設建設ラッシュの背景には、業界では知らぬ者がいない、とある企業のトップの存在が大きく関係しています」と耳にした。曰く、そのトップが各自治体に対して巨大施設建設の必要性を説いて回っているという。

 その企業とは、日本展示会協会の会長を務める石積忠夫氏が社長のリードエグジビションジャパンで、同社は国際見本市を主催する業界最大手だ。

 国際見本市や国際会議など、MICEの誘致や運営を行う企業にとってみれば、巨大施設が多いに越したことはない。どれだけ建設されようが、建設費用もランニングコストも自治体が支払うため、自らはほぼノーリスクだ。

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