2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2016年8月29日

約1500人を収容できる最新鋭の多機能ホール
(写真・Wedge)

 久留米シティプラザにおける今後の誘致状況について聞くと、16年から18年までの3年間で予定されている国際会議の数はわずか3件だという。国内の会議等を含めると、学会22件、大会3件の計25件であり、このうち、2000人を超える規模のものが4件、1000人~2000人のものが8件、1000人未満のものが13件とのことであった。

 3年間で25件ということは、単純計算で1年あたり8件程度ということになる。これは学会、大会のみの数であるため、他にも集客数を増やす催しもあるだろうが、178億5000万円もの巨額投資をした施設にしては低調な滑り出しだ。

 「MICE誘致は周辺自治体との勝負でもあり、今後ますます厳しくなる。一度久留米に来た人たちに良かったと感じてもらえなければ利用者数は減少していく。最初の3年間が勝負だ」と誘致を担当する池脇氏は意気込む。

 MICEの誘致や運営等を手掛ける業界大手・コングレの武内紀子社長も「国際会議の数自体はそこまで増えていない。最近では、国をあげて誘致をしないと、海外からの集客は厳しい」と指摘する。

久留米シティプラザのエントランス。ガラス貼りの壁面から、燦々と陽が差し込む
(写真・Wedge)

議論噴出する長崎駅西側の巨大施設建設計画

 「長崎駅前に第二の軍艦島がつくられようとしています。いや、軍艦島はもともと稼いでいたことを考えると、軍艦島に失礼かもしれないですね」

 生まれも育ちも長崎市内という長崎市民はそう嘆く。軍艦島とは長崎市の沖合に浮かぶ端島のことで、昨年7月に世界文化遺産に登録された炭鉱の島だ。1974年に閉山し、現在は巨大な廃墟の島として知られている。

 長崎駅前を訪れると、駅の西側に広がる巨大な空き地が目に飛び込んできた。現在、一部が駐車場として利用されているその場所は、長崎市がJR貨物から約68億円で購入し、巨大な複合施設の建設を予定している場所であるが、その用地は長崎市が紆余曲折を経て購入した経緯がある。

 購入にあたっては、田上富久長崎市長が中心となり、「MICEを念頭においた」交流拠点施設用地の取得という目的で予算案を市議会に提出したが、「現時点ではMICE事業による経済波及効果がはっきり見えない」、「市民が納得するような十分な説明がなされていない」などの理由により、14年9月の議会で否決された。

 しかしその後、同年11月の市議会にて、「MICE施設に関わらず」将来の利活用について十分検討するとした条件付きで、予算案が可決された。この間、市長自ら市内の35カ所で市民説明会を行ったが、「市長自ら先頭に立って説明することは異例」と前出の長崎市民は話す。施設建設に対する市長の強いこだわりが感じられる。


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