筆者は本書で航空保安官の制度運営についても批判を展開している。拙速に人を集めたため銃火器の扱いの技量が劣っていて、そもそも太りすぎで身体能力も低い保管が誕生していたという。これで本当に空の安全を守れるのか。筆者は義憤にかられ本書を書いている。そこにきて、筆者にとっては悪夢だったクリントン政権が再び誕生しかねない現状に警鐘を鳴らすためペンをとったということのようだ。
反ヒラリー本としては迫力不足だが、ビル・クリントン政権の無軌道ぶりや、政府機関の非効率ぶりを告発する本としては読みごたえがあった。
さて、最後になったが、反トランプ本の売れ行きにもふれておきたい。THE MAKING OF DONALD TRUMPが8月28日付ランキングで11位につけたほか、TRUMP REVEALEDが9月18日付で13位に入った。両書とも一級のジャーナリストたちによる調査報道を書籍にしたものだ。
知名度の高さに反して、トランプの実態は謎の部分が多い。不動産王の正体に迫るこうした書籍も売れてもいいはずだが、反ヒラリー本ほど売れなかった。トランプ人気はしょせん一時的なものと高を括る人が多いということか。
それだけ不人気を集められるヒラリー・クリントンが偉大ということなのか。
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