2022年9月26日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年10月5日

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西本紫乃 (にしもと・しの)

北海道大学大学院公共政策学連携研究部付属公共政策学研究センター研究員

1972年広島県生まれ、広島大学大学院博士後期課程単位満了退学、元外務省専門調査員(在中国日本国大使館)。著書『モノ言う中国人』(集英社新書、2011年)。

 習近平政権は、政権の基盤を強固にすることを最優先し、その方策として反腐敗キャンペーンによる幹部の摘発やメディア統制、社会管理の徹底を行ってきた。その結果、行政も社会も言論も活力が削がれてしまった。外交も一昨年11月の北京APEC首脳会議や今年9月のG20サミットに象徴されるように、習近平による習近平のための外交になってしまっている。南シナ海における軍事力の拡張と妥協を受け入れない強硬な姿勢も、国際社会における中国の評判を大きく損なってしまった。

 こうしたことは、中国の一般庶民に対しては「中華民族の偉大な復興」を印象付けるという点では効果も上がっている。しかし、政治と社会の硬直化の影響をこうむっている知識人やメディア関係者は、習近平の政治にうんざりしている人がたくさんいるのが実情だ。さらにこの先も、来年秋の党大会に向けて党内人事のつばぜりあいが激化して、党幹部の都合にますます政治が振り回される可能性もある。

ヒラリーが生む緊張感を歓迎

 もし、ヒラリー氏が米国大統領になれば、中国と米国との関係はより一層緊張感が高まる。中国の知識人やメディア関係者たちには、そうなれば中国の指導者は今までよりも対外的な事務に注力しなければならなくなり、政治が少しはまともになるのではないかという期待がある。また、人権問題や言論の自由など、米国が中国政府に厳しく突きつけてくれたらありがたいという思惑もある。

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