まとめ
さて、長くなってしまったが、AIやビッグデータに対する、著作権の観点からの保護については、次のようにまとめることができる。
AIそのものは、様々な技術の集合体であるところ、これを構成する1パーツに、コンピュータプログラムが挙げられる。コンピュータプログラムについては、その表現方法に創作性が認められる限り著作物にあたり、著作権による保護が及ぶ。ただし、コンピュータプログラムについては、創作性を厳しく見る向きが一般的であり、AIを構成するコンピュータプログラムについても同様である。複雑なコードの構成が求められるプログラムであれば創作性が認められる可能性は高まり、逆にシンプルな構成で十分なプログラムについては創作性が認められる可能性は低くなる。
ビッグデータについては、データベースの著作物に該当する可能性がある。データベースの著作物として認められるためには、その体系的構成や情報の取捨選択が創作性を有するものでなければならない。特定の狭い目的のために収集されるビッグデータの場合、体系的構成や情報の取捨選択が特徴的なものになる傾向があり、その結果、創作性が認められる可能性も高まる。一方、汎用的な目的のために収集されるビッグデータの場合、体系的構成や情報の取捨選択も、一般的なものになる傾向がある。その結果、創作性が否定される可能性は低くなる。さらに、体系的構成や情報の取捨選択がAIによって行われた場合、そのような体系的構成や情報の取捨選択に創作性を見出して良いのか、現在でも決着が着いていない問題がある。
次回は、営業秘密の観点から分析することを予定している。
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