EVのCO2排出量と経済性
ガソリン1リットル(L)当たりのCO2排出量は2322グラム(g)だ。燃費を1L当たり15キロメートル(km)とすれば、1km当たりのCO2排出量は約155gとなる。一方、日産リーフは電気量1kWh当たり平均では8km程度走行するようだ。電気1kWh当たりの2015年度のCO2排出量は530gなので、1km当たりのCO2排出量は約66gとなる。
原発が停止していることから化石燃料の使用料が増えている日本では1kWh当たりのCO2排出量は増えているので、原発が稼働すれば、さらにEVのCO2排出量は減少することになる。一方、中国のように発電量の75%を石炭に依存している国では1kWh当たりのCO2排出量は大きく、EVの効果は薄れることになる。
ガソリンを1L100円とすると1L当たり15kmの燃費の車では1km当たり6.7円必要だ。電気料金を1kWh当たり25円とすると、1km当たり3.2円になる。EVのほうが燃料にかかる費用は安いが、いま欧州で問題になっているのは、EVが増加すると電力不足が発生する懸念だ。発電設備の老朽化が進む日本でも同様の不安が出てくるかもしれない。
世界のEV市場
国際エネルギー機関(IEA)によると、昨年末時点での国別EVとPHVの保有台数は表-2の通りだ。世界一のEV大国は米国、次が中国、日本も3位につけており、HVに加え、EV/PHVもある程度のシェアを持ち、世界の中でも上位にあることが分かる。
ただ、EV/PHVの国内における市場シェアをみると、世界一はノルウェー23.3%、2位はオランダ9.7%、スウェーデン2.4%、フランス1.2%、中国1.0%、英国1.0%、米国0.7%、ドイツ0.7%。日本は0.6%だ。
ここに来て、EV生産国世界一になった中国でのEV販売が急伸している。今年1月から8月までの販売台数は、対前年同期比90%以上の伸びを示し19万3000台と米国の9万1000台を10万台以上上回り、保有台数も50万台を超え、米国を抜き世界一になった。
現在世界一のEVメーカーは、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの企業バークシャー・ハサウェーが10%の株式を持つ中国BYDだ。最近韓国サムスン電子が30億元(465億円)を同社の新株購入に投資し、2%の権益を得たと報道されたことでも注目された。1月から7月までの販売台数は5万3000台だ。2位は日産3万4000台、3位テスラ3万4000台、4位BMW、5位フォルクスワーゲンと続くが、BYD車の豪州などへの輸出に続き、国営企業のBAICグループもメキシコへのEV車の輸出を開始しており、EVでは中国メーカーが海外市場を獲得する可能性は無視できない。