「リビアやサブサハラから政情不安や生活苦からマルタに流れてくるアラブ系の難民・移民・出稼ぎは数十年前から問題化していた。さらに2010年からの数年間のアラブの春の混乱期には短期間に大量の難民が流入した。政府は何か所も難民収容施設を建設したし、難民が合法的に仕事に従事できるように法制度を整備した。現在は難民の流入が落ち着いていくつかの難民収容所は閉鎖するか規模を縮小した。現在元難民は合法的に就業して税金も納めているが市民権や永住権は認められていない。従って公教育を受けられず選挙権もない中途半端な存在だ。難民・移民を労働者不足対策として受入れたが長期的にマルタ国民として受入れてゆくという戦略の下に法整備を急がないと社会不安要因になると危惧している」
外国人労働者受入れ先進国のマルタの事例から日本の針路について学ぶべきではないか。近い将来の深刻な労働力不足に対応するためには今から優秀な若年外国人労働者を積極的に受入れ合法的な外国人就業者を増やしてゆくべきである。同時に彼らに市民権・永住権を賦与してさらには日本への帰化を促進するプロセスを明確化して広く門戸開放すべきではないか。せっかく日本で技能習得した若者を一律3年で追い返してしまうのでは“もったいない”。
純粋に日本人だけで日本国を維持しようとすれば人口の大幅減少と国力低下は防げない。積極的移民誘致政策により優秀な若年外国人労働者を大量に増やすことで日本の真の国際化は促進されるし、多様な“新日本国民”の出現により技術革新や持続的な経済成長も可能となると考える。
移民政策に関する議論を避けてもっぱら保育所待機児童問題などを論っても少子高齢化問題の抜本的解決には至らないとマルサシュロックのマグロ漁船団を眺めながら思った。
⇒第3回に続く
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