「学校はいろいろな人が集まってこそ学校ですから」と尾畑さん。多様な立場の人が同じ生徒という立場で議論する。尾畑さんが長年培った人脈の広さがモノを言った。
実は尾畑さん、高校を出ると東京の大学に進み、映画配給の日本ヘラルド映画(当時)に入って、宣伝プロデュースを担当していた。1995年に4代目の父の跡を継ぐことを決めて佐渡に戻るが、その際に結婚して共に帰ることになった相手は角川書店の「Tokyo Walker」の編集者だった。
ちなみに、その夫の平島健さんは現在社長、留美子さんは専務である。
学校蔵での仕込み自体も「場作り」の舞台だ。酒造りを学びたい人を生徒として受け入れ、1週間通って酒造りを学んでもらう。
長期滞在を通して「お酒のファン作りと共に、佐渡のファン作りもできます」と尾畑さん。企業とコラボレーションしての「オーダーメイド」の酒造りも進む。酒の仕込みを通して新たな人や企業との出逢いも生まれる仕組みになっている。
本年度はタンク4本を仕込んだが、10年以内に、これを年間40本体制にしたいと尾畑さんは言う。
仮に1チーム3人として40本だと120人。それが佐渡の島内に7泊するので、佐渡のファンが確実に増える。7泊という長期滞在になれば、島内の様々な地域を訪れるわけで、観光にも経済にもプラスになる。そんなきっかけになる「場」を作ろうとしているのだ。