この連載は、今回の50回目で最終です。
長らくお読みいただきまして感謝を申し上げます。
で、これまでの秋津実践の国の施策との付け合せや、今後の学校と地域のあり方の国の新施策との関係を概観し、また秋津の課題や展望を述べて最終回としたいと思います。
いくらか硬い話になるかと思いますが、お付き合いいただけたらうれしいです。
「コミュニティ・スクール」は民主主義を根付かせる制度
この連載で何度もふれてきた「コミュニティ・スクール」は、2004年に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」第47条の5に制定されて設置が可能になった「学校運営協議会」制度のことです。
この改定法を推進した当時の木村孟中央教育審議会副会長は、私も参加した文部科学省主催の「コミュニティ・スクール キックオフセミナー」で以下の発言をしています。
「コミュニティ・スクールは日本に民主主義を根付かせ、地方の考える力を付けるための方策」(文面は『日本教育新聞』2004年12月10日号より)と。
逆にいうと「日本には民主主義が根付いていないし、地方は中央ばっかりを向いていて自主的に考える力がついていない」と、木村氏はいったのです。
私は納得しました。
たしかにPTAの役員のなり手がいないことなども、わが子のことしか考えない「私的親」が多く、血縁の子どもだけではなく「隣の子」や10年後20年後の日本の教育なども視野にいれて活動する「社会的親」の存在が希薄な感じも木村氏の指摘の範疇だろうと思えるからです。
日本とデンマークの民主主義における「機会と配分の平等」の違い
前回、デンマークのデイリー・デモクラシー=日々の民主主義の実践について少しふれました。
先月そんな研修会(東洋英和女学院大学人間科学部主催シンポジウム)に参加した際に感心した考え方をお話しします。
50年前に幸せを求めてデンマークに移住し、同国の民主主義教育の研究や日本の大学等で同国の様子などの講義もされてご活躍の千葉忠夫氏(バンクミケルセン記念財団理事長)や、同国の北フュン島市児童福祉地域包括責任者であるギッテ・クリステンセン女史らのお話の受け売りです。
デンマークは人口560万人、一人あたりのGDPは世界第8位(日本は26位)、自給率がなんと300%の農業大国です。
で、乳幼児は0歳から3歳までは保育園に行きます。3歳~6歳は幼稚園。その後7歳までの0年生を経て15歳まで「義務の教育」としての国民学校で学ぶ期間です。