2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月9日

 筆者のうち、Schoffはカーネギー財団でこの数年日本を担当している人物で、もう一名のSongは経歴不明ですが、名前から判断して若手の韓国系専門家でしょう。

 同盟関係においては、相手の冒険に引きずり込まれる危険性と相手に裏切られる危険性の双方が常に存在しており、それは日米関係においても同様です。トランプ政権の出現と北朝鮮の核ミサイル問題の深刻化は、後者の懸念を日本人に持たせており、独自防衛力整備の必要を指摘する声はこれから益々強くなり得ます。

 トランプ政権の日本への出方は、未だ方向が不確定です。中国は米中首脳会談を契機に、経済的利益を米国にちらつかせるとともに北朝鮮問題の処理を引き受けて、トランプの出方を和らげています。中国への強硬な対応を主張しているバノン首席戦略官及びナヴァロ前国家通商会議議長の力が削られたこともそれを助長しています。ロス商務長官は5月4日、米国の貿易赤字増加で日本とメキシコのみを名指しで非難しました。

日本は(米国に失望して)独自の核武装を考える時が必ず来る

 米国にとっては中国との関係が最重要で、日本はその将棋の駒として振り回される構図が現れつつあります。そして、それは、キッシンジャーなどがつとに予言しているように、「日本は(米国に失望して)独自の核武装を考える時が必ず来る」ということになるかもしれません。また、もし朝鮮半島が統一された場合には、ロシア並みのGDPを持ち、かつ核兵器を保有する反日国家が中国との間に誕生することになる、という問題もあります。

 したがって、本件論評を執筆したSchoffのような、戦勝国の視点から日本に一方的に役割を割り振るこれまでの米国の対日アプローチは見直してもらうことが必要です。日本は当面は、憲法改正論議に力を集中していくべきなのでしょう。

  
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