2024年12月22日(日)

進化する「食」

2017年12月9日

炭酸飲料1本で200キロカロリー

 今回は飲み物のお話です。ビジネスマンの方にとって飲み物といえば、コーヒーでしょうか。
コンビニで買った淹れたてコーヒーを持ってオフィス街を歩くビジネスマンの姿は、今や馴染みの光景です。

(weiXx/iStock)

 ただ、気になることがあります。そのコーヒーに、砂糖をたっぷり入れてはいないでしょうか? コーヒーに限らず、嗜好飲料の飲み過ぎには注意が必要です。糖類を含むコーヒーやスポーツドリンク、炭酸飲料、あるいは「1日分のビタミンがとれる」などとうたった清涼飲料水やのほか、フルーツや野菜、豆乳などのスムージーといった嗜好飲料は、1本のなかにどれくらいの糖類が入っているのかわかりにくく、1日に何本も飲んでしまうと、エネルギーの過剰摂取となり、肥満の原因になります。

 私が栄養サポートをしているスポーツ選手のなかにも、体によいからといって100%のオレンジジュースや果物と野菜のスムージーを1日に何杯も飲んでいる選手が少なくありません。そうしたなかで、体脂肪を減らしたいという選手に、「糖類の入った飲み物は1日1本から2本まで」と決め、実践してもらったところ、ほとんどの選手は体脂肪が減りました。

 185g入りの缶コーヒーは種類によるものの、おおよそ65キロカロリーになります。イメージしやすくするために砂糖に換算すると、1本でスティック4本分の砂糖に相当します(スティック砂糖1本4グラム16キロカロリー)。

 炭酸飲料では500ミリリットルのペットボトル1本でおよそ225キロカロリーにもなります。これはスティック14本分の砂糖になります。1日1本程度の缶コーヒーならエネルギー過剰というほどではありませんが、これを無意識のうちに3本も4本飲んでしまうと、後で詳しくお話しますが、飲み物だけで1日の嗜好品の目安量を摂取してしまうことになります。

 エネルギー過剰の問題だけではありません。砂糖は一気に血糖値を上げてしまうため、食事のときに甘いものを飲むとすぐにお腹がいっぱいになったように感じてしまいます。すると、食事をしっかりとらずに終わり、ビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が不足してしまいます。

 また、炭酸飲料を飲んだあと、なんとなく疲れを感じた経験はないでしょうか。夏の炎天下に、そんなこともあったかなと思い出した人もいるはずです。糖質がエネルギーに変わる手助けをするのはビタミンB1ですが、ビタミンB群が不足すると効率よくエネルギーがつくられないため疲れやすくなるのです。ただでさえ夏はエネルギーを使い、食欲が減退してビタミン類が不足しがちなうえに、糖質の多い炭酸飲料でビタミンB群を使ってしまっては、バテやすくなるのも当然です。

「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではない

 それならノンシュガー、糖質オフ、カロリーオフなら大丈夫なのでしょうか? これらの表示はダイエットをする人の心をくすぐります。「これなら太らないはず」と誰でも思います。

 しかし、油断はできません。まず知っておきたいことは、「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」では意味が違うこと。糖質や糖類は、炭水化物のグループに入ります。炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」から構成されます。「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものを「糖質」と呼び、糖質のなかでも糖の最小単位である「単糖類」と単糖類が2つ結びついた「二糖類」のことを「糖類」と呼びます。

 糖質のグループには、ガムなどに使われる糖アルコール(キシリトールなど)やご飯に含まれる多糖類(でんぷんなど)のほか、炭酸飲料などに使われる甘味料(アセスルファムKなど)があります。

 糖類のグループにはブドウ糖、果糖(単糖類)や砂糖、乳糖など(二糖類)があります。皆さんが「糖」という言葉からイメージするのは、この糖類のことだと思います。

 ジュースなどのパッケージを一度、よく見てください。炭水化物の項目に糖質と食物繊維の項目があり、糖質の下に糖類が記載されています。ここに「糖類ゼロ」とあれば砂糖や果糖などは入っていないことになりますが、必ずしも糖質が入っていないわけではありません。

 食品表示法では、糖質も糖類も食品100グラム当たり(飲料100ミリリットル当たり)0.5グラム未満なら「ゼロ」「無」「ノン」「レス」と表記できることになっています。また、「低」「控えめ」「ライト」「ダイエット」「オフ」などは食品100グラム当たり(飲料100ミリリットル当たり)糖類が2.5グラム未満の場合に表示できます。


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