2024年4月24日(水)

“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2018年11月17日

――ニュージーランドとライバル関係にあるオーストラリア、ワラビーズはどういうチームですか?

田村:オーストラリアはラグビーの盛んな国と言われていますが、国内の競技間競争では負けているんです。13人制のラグビーリーグやオージーボールの方が盛んで、サッカーにも負けています。ということはニュージーランドに比べて才能のある選手が少ないということです。

 最高の素材が集まっているニュージーランドに対して、オーストラリアはいかに勝つか、という知恵と工夫を重ねて、戦術を駆使して追い込んだり、心理的に揺さぶりをかけたりしながら、毎年「ニュージーランドvsオーストラリア」のブレディースローカップにチャレンジしているチームだと私は理解しています。

村上:オーストラリアの人口はニュージーランドのおよそ5倍。それなのに競技人口にはあまり差がありません。ということはいかにニュージーランドのラグビー人口の割合が高いかがわかります。ニュージーランドではある種宗教と言われるほどラグビー熱が高いのです。

 日本は人口が1億人以上なのに、450万人ほどのニュージーランドと競技人口があまりかわりません。日本の中でいかにラグビーが小さな存在かわかります。

【村上晃一さん】 ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。JSPORTSのラグビー解説も1998年より継続中。(撮影:、筆者以下同)

――競技人口だけでなく総人口と比較しないと分からないのですね。

村上:ニュージーランドの場合はスポーツ能力が一番優れた人たちがラグビーをやっているのに比べ、残念ながら、日本ではスポーツの中で認知度が十何番目というラグビーには一番優れた人たちはなかなかやってきません。

 なぜ日本人がニュージーランドに勝てないか、それはトップアスリートがラグビーをやっている国とそうでない国との戦いだからという簡単な理由です。

――ラグビー選手にはどんな資質が必要なのでしょうか。

村上:ラグビーは体が大きくて重い子や背の高い子とか、すばしっこい子など、ポジションに応じてバラエティーに富んだ人たちを必要としている競技ですが、日本で背の高い子はバスケットボールやバレーボールにいってしまい、体の大きな子は柔道や相撲にいってしまいます。

 運動神経のいい子や器用な子はサッカーや野球をやるでしょう。体育の成績でいえば普通から少し上くらいの子たちがラグビーに来てくれるというのが現実だと思います。

田村:花園(全国高校ラグビー大会)に何度も出ている強豪校の先生が、夏引退したあとの野球部員がラグビーを始めた方が強くなるかもしれないと仰っていました。そこは野球部も強豪校として有名で、ラグビー部員に何年もかかって教えたことが野球部員に教えたらすぐにできてしまったと。それくらい強豪校の野球部には運動能力の高い子が揃っているということです。だからラグビー部の方は鍛えあげて強くするのだそうです。

村上:あっははは! 確かにね。よくわかります。


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