長期金利の基本は予想短期金利の平均である理由(上記の解説)
本論は以上ですが、「固定金利は、人々が将来の短期金利を予想して、それを平均したものになる」という事の理由を説明します。少し理屈っぽい話ですが、興味のある方はお読みいただければ幸いです。
毎年金利が変動する住宅ローンと30年間金利が固定されている住宅ローンがあったとします。両者を比較する際、最初に考えることは、どちらが得だろうか、ということですね。それを考える際には、今後30年間の短期金利を予想する必要があります。当たるか否かはともかく、自分なりに予想してどちらが得かを考えるわけです。
借りる方もそうですが、貸す方も同じです。将来の短期金利を予想しながら、変動金利で貸すのと固定金利で貸すのと、どちらが得かを考えるわけです。こうして、借り手も貸し手も将来の短期金利を予想しながら、どちらが得かを考えているわけです。
借り手は、予想短期金利の平均よりも長期金利が低ければ固定金利で借りようとしますが、貸し手は予想短期金利の平均より長期金利が低ければ固定金利では貸しません。そこで、固定金利は上がっていきます。そうして、人々が「変動金利で借りても(貸しても)固定金利で借りても(貸しても)同じだ」と考える水準に固定金利が定まるのです。
一般に、物の値段は「どちらが得だかわからない」という水準に決まります。どちらかが一方的に得だと人々が思うようでは、皆が得な方を買い(借り)、損なほうを売り(貸し)ますから、価格が動いてしまい、結局人々が「どちらが得かわからない」と悩むような状況になったところで価格が安定するからです。
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