最愛の夫は音楽、文学、スポーツと万能の教育者
高校生の時にジョイさんは、後に結婚することになる運命の人“ダニー”と出会う。ダニーは10歳年上で当時アデレードに在住していた。ダニーは音楽、文学、スポーツが大好きで、英国のオックスフォード大学で修士号を得た秀才であった。
ある時、休暇を利用してアデレードから自転車でメルボルンまでジョイさんに会いに来たという。おそらく1930年代の当時まだ未舗装であったグレートオーシャンロードを走ってきたのであろう。ダニーは冒険家でもあった。
その後二人は結婚。新婚早々にダニーはナイジェリアの高校の教員の職を引受け、二人は赴任先であるナイジェリアに渡った。
数年後オーストラリアに帰国してから、ダニーはタスマニアで一番歴史のあるランセストンのカトリック系グラマースクールで教員となり、その後長い間校長を務めた。ジョイも教員資格を取得して文学を教えた。ジョイは若い人に“教える”ことが自分にとり天職であり、引退して悠々自適の生活に何か飽き足らないものを感じると言った。
教職を退いてから二人はセントへレンズに家を建てて移住。二人には四人の娘がおり長女一家と四女のヘレンが近所で暮らしている。ダニーは10年前に90歳で亡くなった。温和な表情をしたダニーの肖像画がリビングルームに飾られている。
癌との闘いで培った強靭な精神力
90歳で心身ともに健康で積極的に人生を楽しめるということはまさに奇跡であろう。ジョイさんに秘訣を聞いたところ意外な答えが返ってきた。
ジョイさんは40歳の時に乳癌と前立腺癌を発症した。当時末娘のヘレンがやっと歩き始めたころで途方に暮れた。しかし夫と子供たちのために癌を克服することが自分に与えられた天命と考えて闘病を決意。退院してからも癌の再発を防ぐためにダイエットを工夫したり毎日運動したり、ありとあらゆる努力をしたという。
現在のジョイさんがあるのはそうした長年の強い意志の積み重ねの結果なのだ。「お陰様で今でも水泳とスキューバダイビングが大好きなの」と微笑んだ。
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