Wedge REPORT

2019年2月20日

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児玉 博 (こだま・ひろし)

ジャーナリスト

1959年生まれ。85年に早稲田大学卒業後、フリーランスとして活動。「堤清二 『最後の肉声』」(文藝春秋)で、第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞。近著に『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』(文藝春秋)。

 国民の大半がイスラム教徒(スンニ派)であるジブチの朝は、町中に鳴り響くコーランで始まる。朝5時過ぎ、コーランが聞こえてくる。世界で最も暑い国、夏場は50度を超えることも珍しくないジブチの国民は朝早くから動き始める。朝7時ともなれば、町は喧噪の序曲を始める。子供らは学校に向かい始め、官公庁も仕事の準備を始める。ジブチ市の中心部にある、バスターミナル周辺にはさながらバザールのような市が立つ。露天で衣類だけが売られている通りから目を転じれば、カラフルな果実が、ハエがたかってはいるのだが、所狭しと並べられ、吊るされている。

写真上:町の中心部にあるバスターミナル、写真下:バスターミナルに隣接するバザール(写真・Wedge、以下同)

 人が動き、車が行き交う。ジブチ人は車を奇麗に磨き上げる。しかし、肝心の車と言えば、ドアがしまらなかったり、サイドミラーがもげていたり、壊れかけている部分はガムテープで留められていたり……。圧倒的にトヨタの中古車が走っている。クラクションが鳴り、車と車の間を人が縫って歩き、バイクがさらにそれを追い越していく。

 緑が比較的に多い中心部を抜けて、10分も走ると乾き切った土色の大地が広がる。その表面はモンスーン(季節風)で吹かれ、微細な砂が舞い上げられ、太陽の光をぼやけたものにする。すると、その砂漠の彼方に巨大な白亜の建物が見えてくる。

 「あれがナガド駅です」 

 取材には必ず同行するジブチ通信省の女性役人が和やかな素振りで指を指す。

砂漠の中に現れた白亜の駅舎、駅前には乾いた大地が広がる

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