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2019年2月20日

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児玉 博 (こだま・ひろし)

ジャーナリスト

1959年生まれ。85年に早稲田大学卒業後、フリーランスとして活動。「堤清二 『最後の肉声』」(文藝春秋)で、第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞。近著に『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』(文藝春秋)。

鉄道はジブチ経済の生命線

 ジブチからジブチの背後に控える大国、エチオピアの首都、アディスアベバとを13時間弱かけて結ぶその距離およそ750キロ。この「ジブチ・エチオピア」鉄道こそ、中国がインフラ投資を進める「一帯一路」の目玉でもある。

 この鉄道の存在は以前から喧伝はされていたが、その詳細は明らかにされていなかった。1917年に開通していたジブチ・エチオピア鉄道に40億ドル(約4400億円)もの資金を投じ、全線電化の改修工事を行い、完成させたのは2016年のことだった。

 駅が近づいてくる。と、貨車の集積地らしきものも見えてくる。石油を運ぶのであろう、いくつものタンクの貨車が連なっている。

駅前の広場には石油タンク車や貨車が並ぶ

 正面に「NAGAD STATION」と掲げられた駅は、白亜の建物。砂漠の中に忽然と現れた姿は、権力のモニュメントのようだ。ゆうに高さは20メートルはあろうかというその建物を見ながら、

 「天安門広場みたいでしょ?」

 同行する役人がニヤリと笑って見せた。しかし、それはあながち的外れとは言えなかった。その建物の大きさは、やはり建設した者の権力と富とを象徴しているからだ。

2006年に中国が電化・改修したジブチ・エチオピア鉄道のターミナル・ナガド駅

 午前8時にエチオピアに向け出発する列車はすでに停車していた。ジブチの人々が、特に女性の多さが目に付くが、彼女らは皆大きな風呂敷のような包みに何やら荷物を包み込んですでに乗り込んでいた。列車の中は、客車とともに、寝台車も設(しつら)えられていた。

 天井まで見上げるほどの吹き抜けとなっている駅構内の待ち合い室には人影はない。ゲートには自動小銃を肩からかけた警備の者たちが目を光らせている。

写真左:大きな荷物を持ち込んだ乗客は一路エチオピアを目指す、写真右:高い天井に広い待ち合いスペースを設けたナガド駅は中国本土の駅と瓜二つ

 中国の交通インフラを手がける「中国中鉄」と「中国鉄建」の子会社「中土集団」とが建設し、運営するこの鉄道会社には、中国人がおよそ200人、現地のジブチ人が200人働いている。

 「ビッグマネージャーは中国の人ね」

 ジブチ側のマネージャーを務める人間はこう言って笑ってみせた。このジブチ人マネージャーによれば、開業後6年でジブチ人による運営に向けて、中国人によるジブチ人教育がなされているのだという。

写真左:中国人の駅員が白線沿いに立つジブチ人の駅員に教育を行っている
写真右:中国語も表示される案内板

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