2024年12月10日(火)

【中学受験】成功を導く父親の役割

2019年7月16日

(xalanx / iStock / Getty Images Plus)

夏休みに突然存在感をアピールするお父さんたち

 もうすぐ夏休みがやって来ます。夏休みは小学校の授業がないぶん、受験生の6年生にとっては、受験勉強に集中できる絶好のチャンス。そのため、多くの中学受験塾では“受験の天王山”と呼んでいます。こうした塾のフレーズが親たちを焦らせ、「今ここで頑張らせなければ!」という思いを駆り立てます。とくに日頃は仕事で帰りが遅く、子どもの勉強を見てあげることができないお父さんは、ここぞとばかりに張り切ります。

 ところが、非常に残念なことに、お父さんが関わることでかえってうまくいかなくなるケースが続出しているのです。

「算数なら任せろ!」と言って
数学を教えてしまう方程式父さん

 ショウヘイくんの算数の成績がガクッと下がったのは、夏休みの後半のこと。これまでも決していい成績とはいえませんでしたが、式や図を書くことを億劫がらずに取り組む子なので、これから演習を積み重ねてスピードを上げていけば得点につながっていくだろうと期待していました。

 ところが、夏休みに入ってから成績が急落。原因を知るために答案を見ると、そこにはXやYの文字が並んでいました。

 あぁ、またここにも禁断の方程式を教えてしまったお父さんが・・・・・・。

 実は、夏休みにお父さんが指導に入ることで、成績が下がってしまう子が毎年必ずいます。そういうお父さんの多くは理系出身で、小学生に算数を教えることなんて楽勝と思っています。

 ところが、中学受験を経験していないお父さんは、受験算数というものを知りません。問題を前に、図や式を書きながらああでもないこうでもないと頭をひねっているわが子を見て、「一体いつになったら答えが出るんだ!」とじれったくなり、「そんな問題、方程式で解けばいいじゃないか!」と方程式を教えてしまうのです。

 方程式を教えてもらった子どもは、その便利なツールに数字を当てはめれば答えが出ると勘違いをしてしまいます。すると、これまで丁寧に書いていた図や式を書くことが億劫になり、とりあえずお父さんから教えてもらった方程式に数字を当てはめてみるという行動を取るようになります。XやYだけではなく、ZもAもBも。5元、6元の連立方程式が並んでいることもあります。そして、これまで積み上げてきた「手を動かして考える」ことをやめてしまうのです。

 ところが、中学受験の算数は、すべてが方程式で解けるわけではありません。むしろ問題によっては方程式で解くほうがかえって時間がかかるものや、方程式では解けないものの方が多いのです。でも、夏休みの短い間にそのことに気づくことができるお父さんは稀です。しかも、気づいたとしても方程式で解ける問題だけを教えるお父さんが多いのです。


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