【中学受験】成功を導く父親の役割

2019年11月28日

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西村則康 (にしむら・のりやす)

中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」代表

40年以上、難関中学、高校受験指導を一筋に行う。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。

(Mukhina1 / iStock / Getty Images Plus)

どんな子でも不合格にはなりたくない

 11月に入り、首都圏の受験生は入試本番まで3カ月を切りました。直前期の勉強は、受験校の過去問を解くことが中心になります。過去の問題とはいえ、自分が受験する学校の入試でどれだけの点数が取れるのか、それがその年の合格ラインに達しているのかいないのかという現実を突きつけられると、「このままでは合格できないかもしれない……」と不安な気持ちになることでしょう。特にこれまでお子さんの受験サポートをしてきたお母さんは、心配でたまらないはずです。

 ところが、当の子どもは、まだ“自分事”と捉えることができず、この時点に及んでもマイペースで勉強をし、必死さを感じられないことがあります。特に男の子は、そういう傾向があります。そんな姿を見て、普段あまり子どもの受験に関わってこなかったお父さんが、「こんな勉強じゃあ、合格できないぞ!」と発破をかけることがありますが、これはハッキリ言って逆効果です。

 経験豊富な大人と違って、子どもはまだ時間の感覚をつかむのが未熟で、先を見通す力が身についていません。大人の感覚からすると「あと3カ月しかない!」という焦りも、子どもにはピンと来ないのです。

 でも、「こんな勉強じゃあ、合格できないぞ!」という言葉には敏感に反応します。どんな子でもやはり不合格にはなりたくないからです。「合格できないような勉強を続けたボクは合格できないかも……」と思い始め、それが「今さら勉強をしても……」という気持ちを生じさせてしまいます。ですから、直前期はこのようなネガティブな言葉は渡さないようにしてください。お父さんからすると「おいおい、こんな調子で大丈夫か?」と思っても、子どもの前では、役者になりきって「お前なら大丈夫だ」と明るく声をかけてあげてください。そして、「今さら勉強しても……」という気持ちを強く打ち消すように明るく「さぁ、今から本気を出そうか!」と言ってあげてください。

 また、不安でいっぱいなお母さんにも「あの子なら大丈夫だろう」と言ってあげられるといいですね。直前のお母さんの不安を取り除いてあげられるのはお父さんしかいないからです。

直前期は苦手を深掘りせず、
得意科目で自信を持たせる

 直前期は子どものできないところが気になるものです。毎年、この時期になると、私のところには「『速さ』が苦手なのですが、何をやらせればいいでしょうか?」「過去問は何年分解かなければいけないのでしょうか?」といった細かな質問や相談があります。

 中学受験において算数は、得点の差がつく重要科目です。そこで多くの親御さんは、いかにして算数で点をあげるかに力が入りがちです。特に算数入試では必ず出題される「速さ」は苦手という子も多く、これをなんとか克服させようと必死です。

 子どもが「速さ」が苦手という場合、多くのお母さんは速さの3要素の基礎を見直しさせようとします。一方、子どもの受験勉強に携わってきたお父さんは、「この子は速さのダイヤグラムがまだできていないな」「面積図も怪しいな」とできていないところが気になり、「じゃあ、この問題も解けるようにしておかないとダメだな」「あれもやっておいたほうがいいだろう」と、どんどん広げていこうとします。

 しかし、基礎を一から見直すことも、できないことを強化することも、この時期はおすすめしません。苦手科目(または単元)の克服は11月までと割り切って、深掘りしないことです。もし苦手な分野の大問が出たら、小問1だけ解いて、さっさと次の大問に進めばいいと言ってあげましょう。

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