Wedge REPORT

2020年1月11日

ラグビープロ化の課題は
ホームタウンの選定

 ワールドカップ(W杯)の盛り上がりもあり、ラグビーのプロリーグ化構想が日本ラグビー協会の清宮克幸副会長を中心に進んでいる。サッカーやバスケットボールがアジア弱小国のレベルからプロ化させたのに対し、ラグビーは日本がすでに世界ベスト8のレベルに達しており、今回のW杯で世界トップレベルのプレーを見てファンの目が肥えている。世界レベルと比較されてしまうので、その点で観客動員やリーグ運営が難しくなるのではないか。

 現在のトップリーグでもチーム運営には15億円ほどかかっているが、プロ化すると選手の年俸が上がるので最低20億円は必要になるだろう。清宮副会長は世界のマーケットで放映権料を稼いでいくと言っているが、ちょっと考えが甘い。ラグビーファンは富裕層が多いから高額の席も設けるようだが、それで入場料収入が1試合数千万円増えるかもしれないが、肝心の観客動員が数千人レベルの想定だとうまくいかない。大きなスタジアムに多くの観客が押し寄せてこそ、高い放映権料が入り、スポンサーもついてくれる。

 

 プロ化するなら、やはり観客動員、入場料収入を一番に考えなければならない。第一関門は、ホームタウンをどこにするか、ホームスタジアムを確保できるのかどうかだ。もちろんスタジアムを埋める十分なマーケットが必要だし、対戦チームのサポーターも応援に来ることができる立地でなければならない。

 清宮副会長はW杯の12開催都市を中心に検討していくと言っている。しかし、その中にはJリーグのクラブのホームスタジアムも多く含まれており、他人の褌(ふんどし)で相撲を取るかのごとき印象がある。サッカーでは早いパス回しができるように芝を短く刈ってメンテナンスをしているが、ラグビーで使用するとスクラムなどで芝が傷んでしまうため、両競技の併用はなかなか難しい。

 日本では市民をあげてスポーツチームを招致し、新しくスタジアムまで作って歓迎してくれるケースはほとんどない。リーグやチームのトップが自治体の首長にプロ化の価値や理念を誠心誠意説明し、「わがまちのチーム」として認めてもらえるかにかかっている。首長だって市民からそっぽを向かれると次の選挙で落選するから慎重になる。クラブ受け入れのリスクを上回るメリットを説けるかどうかだ。

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