2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2020年1月11日

 クラブがその地域と縁があるかどうかはあまり重要ではない。その良い例が浦和レッズだ。当時、親会社だった三菱自動車が東京都江戸川区をホームスタジアムにしようと交渉していたが、うまくいかなかった。その時に浦和市(当時)からオファーがあり、今の形となった。クラブが地域に根差すことができれば、まちの象徴になる。鹿島アントラーズも発足当時、ホームタウンの人口は4万5000人だったが、8度も日本一になった。こんな例は世界的にも稀有だが、ラグビーもその可能性はある。

 Jリーグは地域密着を打ち出すため、チーム名からスポンサー企業名を外すことにした。Bリーグでは、同じように企業名を外させたら撤退する企業が出るかもしれないと思い、3000万円程度で企業名をつけることも非公式で検討したが、結局Jリーグにった。ただし、ラグビーではプロリーグの運営費を捻出するために、解禁してもいいのではないか。

 女子サッカーもプロ化を進めているが、日本サッカー協会の田嶋幸三会長に構想を聞くと、これまたプランが甘く、無理だろうと言った。しかし、「W杯や五輪で活躍するにはプロ化しかない、思い切って作りたい」と言われた。その時にかつて自分もJリーグを立ち上げるときに、協会の幹部から今の自分のような否定的な発言ばかり言われたことに、はたと気が付いた。反省して、失敗することを考えず、絶対に成功させるという気構えでやるなら賛成すると発言を変えた(笑)。

 ラグビーにしろ、女子サッカーにしろ、プロ化という難題が立ちはだかっているが、それに果敢に挑戦しようとするリーダーがいる競技の将来はまだ明るい。

スポーツ界の課題は
ガバナンスと経営人材

 一人のリーダーシップも大事だが、それを支える競技団体のガバナンス強化や人材の充実も必要となる。五輪を前にボクシングやテコンドーなどの競技団体でガバナンス問題が起きているが、この点ではJOC(日本オリンピック委員会)は怠慢だったと言わざるを得ない。五輪後に競技団体のガバナンス改革に着手するのではないか。

 現在会長を務める日本トップリーグ連携機構では、所属団体の競技レベル向上に向けた組織改革に取り組んでいる。競技団体には監督やコーチなど強化スタッフだけでなく、組織マネジメントができる人材の両輪が必要だ。これまでは選手OBや親会社からの出向者が担ってきたが、スポーツビジネスに長けた人材が求められる。

 スポーツ界に優れた人材が集まらないからお金が集まらない、お金が集まらないから人材が集まらない、という負の循環に陥っているので断ち切らなければならない。我々の仕事はスポーツビジネスの世界に来てくれた人材の年俸をどう増やしていくのかということだ。


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