同時テロ防げず信頼低下
これらCIAの跳梁は、その活発な活動からみればもちろん、九牛の一毛にすぎない。
ベトナム戦争初期、南ベトナム(当時)で国民から不人気だったゴ・ジン・ジェム政権を崩壊させたクーデター(1963年)への支援、〝宿敵〟イランに密かに武器を売却、代金をニカラグアの反政府ゲリラへの援助に流用していたイラン・コントラ事件(1980年代)への関与、日本を含む各国の政党への秘密資金の提供(1950年代)など、国際政治の裏舞台に登場しないことがないといっていいほどだろう。
しかし、そのCIAも最近では、2001年の同時テロ事件を未然に防げなかったこと、イラク戦争にからみ、同国が保有すると米国が主張していた大量破壊兵器の情報が不正確で、結果的にそれらが発見されなかったことなどもあって、風当たりが強まっていた。
同時テロ事件後の2002年、筆者がワシントン勤務中、当時のテネット長官がそれについて、議会証言で集中砲火を浴び、防戦に追われたことはよく記憶している。
そういう事情に加え、ブッシュ政権で力を持った〝ネオコン〟がCIAを信用しなかったこともあって、2005年にはCIAやFBI(連邦捜査局)など情報機関、捜査機関を指揮監督する国家情報長官のポストが新設された。
このポストが十分に機能しているのかは不明だが、CIAには、第2次大戦直後の1947年に創設され、冷戦期に、ソ連との情報戦を勝ち抜いてきた輝かしい歴史がある。
今回のベネズエラでの事件、逆風を跳ね返して「強いCIA」復活への一歩となるかもしれない。
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