新型コロナウィルスが脱ハンコを加速させる
電子化に伴うハンコ依存からの脱却に関して法制度の面で言えば、既に20年近く前の2001年に、一定の要件を満たした電子署名にハンコと同様の推定を持たせるための「電子署名法」が制定されています。
また、一定の契約書や伝票類には法律上の保存義務がありますが、この点についても2005年の時点で電子媒体での保存等を認める「e-文書法」が制定されています。
これらにより、電子データで契約を締結したり、伝票類を発行したりするための法律的な環境は既に整備されているといってよいでしょう。
しかし、これまでの間、電子署名等を活用した契約の締結はあまり普及しているとは言い難い状況でした。一つには、従来の電子署名がいまひとつ使いにくかったということもありますが、一番の理由はやはり、これまでの日本ではハンコに対する信頼感があまりにも強かったということに尽きるのではないかと思われます。
とはいえ、最近ではクラウド型の電子契約サービスも複数登場してきており、契約締結の電子化はここ数年でじわじわと広まってきている印象があります。
さらに、この度の新型コロナウィルスの影響で在宅ワークが広まった関係で、政府主導で「対面・紙・ハンコ」の見直しが進められており、これによりオンラインでの契約締結が一気に進む可能性もあります。
「ハンコ」がビジネスのツールではなく、骨董品になってしまう日も、そう遠くないのかもしれません。
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