2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年8月27日

「ハリス潰し」

 加えて、トランプ大統領は指名受諾演説で「ハリス潰し」を行います。ハリス潰しには、少なくとも3つのメリットがあります。

 第1に、トランプ氏は昨年6月に開催された1回目の民主党テレビ討論会でハリス氏がバイデン氏に対して人種問題で侮辱したと主張します。バイデン陣営を仲たがいさせるのです。

 第2に、ハリス氏に極左のレッテルを貼ります。これに関しては以前説明しましたが、共和党の「隠れバイデン」票が左派に流れるのを抑制する効果があります。共和党保守本流の「隠れバイデン」支持者は極左にアレルギーがあるからです。

 第3に、黒人のハリス氏への攻撃は、トランプ氏の支持基盤である白人至上主義者を鼓舞します。

 もちろん、トランプ氏はバイデン氏への攻撃の手を緩めることは決してしません。「バイデンが大統領に就任すれば米国は滅びる」「バイデンが選挙に勝てば、中国が米国を所有する」「米国を社会主義にはさせない」など、否定的で恐怖心を煽る演説をするでしょう。結局、トランプ氏の指名受諾演説は、米国民に希望及び夢を語る演説とはほど遠いものになる公算が高いといえます。

  
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