WEDGE REPORT

2021年1月25日

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 中共は今こそ、自国民であるはずのウイグル・カザフなどトルコ系イスラム教徒に対するジェノサイドを認め、責任者を「著しく党の規律に反し、党と国家の内外における名誉を貶め、中華民族の内部に深刻な分裂を生んだ」犯罪者として厳罰に処するとともに、トルコ系イスラム教徒をはじめとした少数民族との、極めて困難で長期にわたる和解のプロセスを、人類の道義と基本的な良知に基づいて、勇気を以て始めるべきである。

 これこそが、「中華民族の多元一体」を確実ならしめる方法であり、21世紀の世界において責任ある立場を果たす大国の政権党としてあるべき姿ではないか。

中国進出・一帯一路を利用する
日本企業への影響も必至

 いっぽう、新疆でのジェノサイドの実態が今後ますます世に知られ、西側諸国を中心とした批判が強まると予想される中、日本企業への影響は避けられないであろう。

 米国では昨今、新疆での強制労働に関与した疑いがある企業への監視を強め、20年9月以後、中共直属の巨大な軍産複合体である新疆生産建設兵団の下で生産された綿製品や、特定の企業で生産された繊維製品や電子部品の輸入を禁止し、サプライチェーンの脱中国化を促している。

 加えて米国は、10月には中共党員の米国移民・グリーンカード取得を禁止したほか、11月には「東トルキスタン・イスラム運動 (ETIM)」へのテロ組織認定について、「約10年来活動が不明な組織の存在を理由として中共が新疆での弾圧を正当化している」という観点から解除した。

 また最近では、中国の駐米国大使館が「中国がウイグルの宗教的過激派を抑え込んだ結果、女性は『子供を産む機械』ではなくなり、解放された」とツイートしたところ、ツイッター社はこの発言をデマとして削除したのみならず、アカウントそのものを「人間性を抹殺するもの」として凍結した。

 こうした矢継ぎ早な米国の動きに対して、日本の動きは遅いように思える。

 だが、今後、個別の日本企業が中国、とりわけ新疆の当局や生産建設兵団・企業と関わり、それがメディアを通じて全世界に発信されること、あるいは新疆を経由する「一帯一路」を利用することは、自社の国際的イメージを失墜させることにつながり、西側友好国のあいだで「日本はどちらの味方なのか」という不信感が増幅され、グローバル・ビジネスを妨げることになると考えられる。

 米中対立激化に伴い、日本企業にとっても経済的安全保障の視点が欠かせなくなったいま、短期的な利益のために中国と付き合うのか、商業倫理に即したビジネスの長期的な発展を望むのか、個々の日本企業・日本人が速やかに再考するべきではないか。

  
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