2024年4月25日(木)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年2月4日

「チームバイデン」VS.「チームシー」

 ブリンケン国務長官は米議会上院での承認公聴会で、中国政府による新疆ウイグル自治区に住むイスラム教徒の少数民族に対する弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定しました。トランプ前大統領は中国政府のウイグル人、カザフ人、キルギス人らを標的にした「職業技能教育訓練センター」の建設を容認し、弾圧を軽視してきました。おそらく、トランプ氏は人権と通商のデール(取引)を選択したのでしょう。

 これに対して、ブリンケン国務長官は同盟国及びパートナーと連携し、人権問題を鉾にして中国への対抗を強めるに間違いありません。そのとき、日本は中国との経済関係を重視して、消極的支持をするとブリンケン国務長官から全面的な信頼を勝ち取ることが困難になるでしょう。その結果、「チーム・バイデン」の主要なメンバーになる公算は低くなります。

 中国共産党のウイグル族や香港の民主活動家に対する弾圧に対して日本がブリンケン国務長官と一体になって、強いメッセージを発信できるのかが極めて重要になります。というのは、それが日本の信頼関係構築の能力を問う「リトマステスト(試金石)」になるからです。

 仮にできないと、ブリンケン氏から北朝鮮の拉致問題に関して全面的な協力を引き出すことが難しくなるかもしれません。日本がバイデン政権から「チーム・シー(習国家主席)」のメンバーとして認識されないためには、中国の人権問題でブリンケン国務長官と温度差を作らないことが不可欠です。

  
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