「なぜそうなるのか?」考えるクセをつけさせるのは親の役割
同じことは他の教科でも言えます。近年、理科や社会の入試では、知識そのものを問う問題は減り、「なぜそうなるのか」といった理由や因果関係を説明させる記述問題が増えています。こうした問題に対応できる力をつけるのには、日頃から世の中のさまざまなことに興味・関心を持つことが大切です。
では、それを誰が促してあげるとよいかといえば、やはり親御さんがいいと思います。中学受験は子どもがまだ幼いため、親のサポートが必要になります。そう言うと、「私が勉強を教えてあげなければ!」「私が学習スケジュールを立ててあげなければ!」とプレッシャーを感じる親御さんもいます。でも、極端な話、勉強は塾で教わればいいし、学習スケジュールも始めは親御さんのサポートが必要かと思いますが、徐々に子ども自身に立てさせる方がいいでしょう。その方が自立につながります。ですから、そこに力を入れすぎなくてもいいと思います。
それよりも、日頃からテレビや新聞のニュースを見ながら、気象や宇宙などの自然現象について話をしてみたり、政治や社会問題について意見を交わし合ったりすることをやっていただきたいのです。そうやって日常生活の中での話題について一歩深めることが大切なのです。知識は塾で学ぶことができますが、日常生活での問いは、家庭でしかできません。
特に世の中について教えてあげたり、考えるきっかけを与えてあげたりするのは、実社会で働いているお父さんにぜひやっていただきたいですね。
「なぜこんなことが起きてしまうのだろう?」
「この後どうなると思う?」
「誰にどんな影響があると思う?」
「この原料って何だろう?」
「これについてあなたはどう思う?」
「どうしてそう思ったの?」
「もし、○○だったらどうする?」
こうした問いを日々渡してあげると、世の中のさまざまなことに興味・関心を持つようになるでしょう。
近年、難関校をはじめとする中学入試では、学校や塾では習わないような初見の問題が出たり、算数の問題に社会的な内容や理科的な内容が含まれていたりと、あえてこれまで見たことのないような問題を出す学校があります。
こうした入試に挑戦するには、どんなことに対しても興味を持って読み進める好奇心と、絶対に答えを出してみるぞ!という粘り強さが必要です。その力を育むのが家庭であり、お父さん、お母さんの役割でもあるのです。
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