中国は石炭火力も再エネも
中国の2020年の電力供給量は7兆6000億kWhを超え、日本の約7倍、世界2位米国の4兆kWhの約2倍ある。供給量の伸びは鈍化してきているが、それでも2019年から20年にかけ4.0%伸びている。この電力供給を支えているのは、依然として石炭火力だ。全供給量の68%を火力発電が担っているが、その内天然ガス火力は数パーセントしかなく、大半は石炭火力だ(図-1)。一次エネルギー供給においても石炭の果たす役割は極めて大きい。
一次エネルギー供給では、石炭の比率は58%。石油と天然ガスを合わせると86%が化石燃料だ(図-2)。その結果、燃焼起源の二酸化炭素排出量も多くなる。中国は世界の排出量の29%を占め、2位米国のほぼ2倍だ。日本のほぼ9倍になる(図-3)。世界の分野別の排出量では、電力・熱部門は約44%だが、中国ではほぼ半分を電力部門が占めている。
4月22日に開催された気候変動サミットで習近平主席が石炭消費の削減目標を出したが、発電部門では既に火力建設への投資を抑制し、風力発電設備への投資を増加させている。2020年の火力発電設備への投資額553億元(約9200億円)に対し風力設備への投資額は2618億元(約4.3兆円)に上る。再エネ発電設備への大きな投資が続いた結果、中国は世界最大の太陽光、風力発電大国になった。
2019年末の世界の風力発電設備5億9400万kWのうち、2億500万kWは中国に設置されており、シェアは33%に達する。太陽光発電設備5億8500万kWの内、2億500万kW。シェアは35%にもなる。だが、これだけの設備を抱えても、風力、太陽光発電設備からの供給力は、それぞれ全発電量の6.1%と3.4%に過ぎない。電力需要増に応え、大気汚染、温暖化対策のため再エネ設備への投資はこれからも大きく増えることになる。