社会の「困った」に寄り添う行動経済学

2021年5月19日

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佐々木周作 (ささき・しゅうさく)

東北学院大学経済学部准教授

東北学院大学経済学部准教授。博士(経済学、大阪大学)。専門は行動経済学・実験経済学。三菱東京UFJ銀行・京都大学特定講師等を経て現職。一般向け書籍に『今日から使える行動経済学』(ナツメ社)等がある。
 

コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
4月から、社会人として初めての部下を持った、本日の困ったさん。本人の自主性に任せるべきか、それとも、細かく指示するべきか……。

運動不足解消のために「毎日ランニングをしよう」と決意したのですが、結局、三日坊主になっちゃいました。運動習慣ってなぜ定着しないのでしょう?
 
 
 
 
イラストレーション
石野点子 Tenko Ishino
 

新入社員の部下がしっかりと成果を出せるよう、サポートしてあげたい。ただ、私自身も初めて部下を持つ「新米上司」……。どのように仕事の管理をしたらいいのでしょうか。

 

どのような場面でお悩みですか?

 

最初は、本人の自主性を尊重した方がいいのかなと考えて、極力口を出さないでいました。でも、新人時代は仕事の基本を習得する時期ですよね。細かく指示を与える方がいいのではないかとも思い始めています。どちらがよいのでしょう。

 

ダン・アリエリーという、世界的に有名な行動経済学者が行った研究が、そのヒントを提供してくれるかもしれませんよ。

 

どのような研究ですか?

 

アリエリーは実験を行って、仕事の「締切の設定方法」と「生産性や質」の関係性を検証しました。実験参加者に文章校正の課題を3枚与えて、3週間の期間で完了するように求めたのです。
ポイントは、3種類の異なる締切を、参加者の間でランダムに設定したことです。 ①1週間ごとに1枚ずつ提出 ②自分で締切を設定させて提出 ③3週間後にまとめて提出、です。

 

作業の量と期間は同じでも、締切の設定が違ったのですね。どの設定がうまくいったのか、気になります。

 

最もパフォーマンスが高く、締切を守れた人と正確に校正できた人が多かったのは、1週間ごとに細かく締切を設定した①のグループでした。逆に最も低かったのは、完全に本人のやり方に任せた③でした。③の参加者はスケジュールを立てずに、ずるずると作業を先延ばししたのかもしれません。細かな締切設定は、そのような計画の先延ばしや無計画を防ぐ効果があったと考えられます。

 

なるほど……。さっそく職場に戻って、実践してみます!

 

ぜひ! ただし、今回の実験の仕事は時間内に作業を積み上げる定型的なものなので、独創的なアイデアや工夫が求められる非定型的な仕事には結果が当てはまらないかもしれません。仕事や部下のタイプに合わせながら、試行してみてください。

 ひとくちメモ  ごほうびの渡し方 
 部下の仕事管理だけでなく、ごほうびの中身や渡し方もなかなか難しい。直接意見を聴くと、結局はお金が一番という場合が多いが、それではちょっと味気ない。
 実は、Googleで行われた実験では、お金の報酬よりも、旅行などの経験や品物の報酬の方が社員の満足度は高く、しかも高い満足度が長続きするという結果が報告されている。
 経験や品物の方が、受け取った人の心や記憶に残りやすいということだろう。

Wedge5月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■昭和を引きずる社会保障 崩壊防ぐ復活の処方箋
PART 1  介護         介護職員が足りない!  今こそ必要な「発想の転換」
PART 2  人口減少   新型コロナが加速させた人口減少 〝成長神話〟をリセットせよ    
PART 3  医療        「医療」から「介護」への転換期 〝高コスト体質〟からの脱却を     
PART 4  少子化対策 「男性を家庭に返す」  これが日本の少子化対策の第一歩
PART 5  歴史        「人口減少悲観論」を乗り越え希望を持てる社会を描け       
PART 6  制度改革    分水嶺に立つ社会保障制度  こうすれば甦る
Column 高齢者活躍 お金だけが支えじゃない  高齢者はもっと活躍できる
PART 7  国民理解    「国家 対 国民」の対立意識やめ真の社会保障を実現しよう

  
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◆Wedge2021年5月号より

 

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