運動不足解消のために「毎日ランニングをしよう」と決意したのですが、結局、三日坊主になっちゃいました。運動習慣ってなぜ定着しないのでしょう?
「現在バイアス」という意思決定のバイアス(偏り)が影響していますね。
現在バイアス?
私たちは、「将来どうする?」と聞かれると、しんどいけれども理想的な選択をしようと決断しますが、「今どうする?」と聞かれると、誘惑に負けて楽な方に逃げて、実行を先延ばししてしまう傾向があるのです。
子どもの頃、夏休みの宿題を後回しにし、最終日に大変な思いをした苦い経験を思い出しました……。
運動習慣も同じで、「明日こそランニングに行こう」と計画するものの、いざ当日になると「今日は忙しいので明日からにしよう」と計画を変更して、それを繰り返しているうちに習慣化できないままになってしまう。大阪大学の研究によれば、子どもの頃に宿題を後回しにした経験のある人ほど、成人後に肥満になる確率が高かったそうです。
うーん、まさに当てはまります。そんな私でも、どうにか継続できる〝コツ〟があったりしませんか?
〝コミットメント〟という考え方を取り入れてみましょう。立てた計画を後で変更しづらいような工夫を施しておけば、時間が経ち誘惑に負けそうになっても元々の選択を実行できます。たとえば、計画を周囲に宣言して、計画倒れしたときにきまり悪くなるような環境を整えることも、コミットメントのひとつです。米国では、グループの中で目標を宣言し、それが達成できなかった場合のペナルティを設けるWebサービスを経済学者が開発して、一般向けに提供していますよ。
さっそく、運動仲間たちとグループを組んで、目標や日々の成果を報告し合いたいと思います!
ナイスアイディアです。このように、意思決定のバイアスを踏まえ、理想的な選択が実現できるように背中を押す仕組みの総称を〝ナッジ〟といいます。
ひとくちメモ ナッジ
経済学者のセイラーと法学者のサンスティーンが提唱した概念。ナッジ(nudge)は、辞書的には「ひじで小突く」「そっと押して動かす」の意味を持つ。彼らは、ナッジを「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャー(構造)のあらゆる要素」と定義した。行動変容を促すナッジは、しばしば、前を歩く子ゾウを母ゾウが鼻でやさしく押し、誘導する様子にたとえられる。
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