2022年7月5日(火)

中東を読み解く

2021年5月14日

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カギ握るバイデンの介入

 全面戦争に突入するか、沈静化するのかは予断を許さないが、事態の行方にカギを握っているのはバイデン米大統領であることは衆目の一致するところだ。米国は巨額の軍事援助を行い、歴代政権が中東和平の調停に取り組んできた。イスラエルにとって、国連の言うことは軽視しても、米国の言うことには耳を貸さざるを得ない関係にある。

 だが、バイデン大統領は就任以来、イスラエルと中東和平には冷淡な接し方を見せてきた。イスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平達成という方式には賛同を示したものの、歴代政権のように踏み込んだ関与は回避してきた。その理由は、トランプ前大統領と親密な関係にあったネタニヤフ首相を忌避していることに加え、オバマ政権の副大統領時代、中東和平の取り組みの難しさを嫌というほど見せつけられているからだ。

 バイデン氏にとって中東和平問題の優先度が低いのは何といっても中東に向ける精力や人的、財政的資源を「唯一の競合国」である中国向けにシフトしたいと考えているからだろう。だから、パレスチナ自治政府のアッバス議長ともまだ直接話もしていないし、パレスチナ側とのパイプに大きな役割を果たしてきた東エルサレムの米領事館再開にも踏み切っていない。

 しかし、さすがに戦況が激化した状況に、バイデン氏は12日、ネタニヤフ氏と電話会談し、イスラエルの自衛権への支持を表明する一方で、事態の鎮静化を促した。同時に、米紙によると、国務省のパレスチナ問題担当のアムル副次官補を急きょ、イスラエルに派遣し調停に当たらせることを決めた。

 インダイク元イスラエル大使は「米国にとって中東の問題はつながりを断とうとしても、向こうは放っておいてくれない」(ニューヨーク・タイムズ)という関係だ。バイデン氏は今更ながらこのことを嚙みしめているのではないか。

  
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