2022年12月2日(金)

WEDGE REPORT

2021年5月18日

»著者プロフィール
著者
閉じる

山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

冬季の停電がありえるのはなぜ?

 昨年末から今年1月の大寒波により、停電が心配される事態となった。電力の卸市場価格が高騰したため、電気料金の契約内容によっては料金が突然10倍にもなる消費者も出てしまった(『電気料金はなぜ突然10倍にもなるのか、再度問う「電力自由化の天国と地獄」』)。液化天然ガス(LNG)入着の遅れもあり、電力供給が綱渡りになったが、その背景には再エネ発電設備の増加もある。

 2012年導入されたFITでは太陽光発電設備からの電気の買取価格が高く設定されたため、太陽光発電設備導入量は大きく伸びた。今、日本の太陽光発電設備量は、中国、米国に次ぐ世界3位になっている(図-4)。

 太陽光からの発電量は、お天気が良い夏場には大きく増える。その結果、ピーク対応の火力発電設備の利用率はさらに低下し、火力設備の休廃止の動きを早めることになる。

 夏季の電力需要の日中のピークは午後から夕方にかけ発生する。太陽光からの発電量も多い時間だ。しかし、冬場の電力需要のピークは、日が落ち温度が下がる夕方に発生することが多い。太陽光からの発電量が落ちる時間帯にピークが来ると、供給を補うための火力発電設備が必要だが、採算が取れない火力設備の休廃止により設備は不足する可能性がある。太陽光発電設備量が多い九州電力管内の夏季(図-5)と冬季(図-6)を比較すると、ピークの時間がずれていること、また太陽光からの発電量が落ちた時間帯に冬季のピークがあることが分かる。

 

 結局、電力市場の自由化と太陽光を中心とした再エネ設備の導入量の増加が、ピーク対応の火力発電設備の休廃止を招き、停電を引き起こす可能性を作り出したと言えそうだ。どちらも経産省が進めた政策だが、さらに再エネ導入を進めるとなると昨年導入された容量市場のように利用率の低い設備を維持し、安定供給を支える仕組みが必要になる。それでは、既にFITの賦課金額負担により上昇している電気料金は、今後どうなるのだろうか。

新着記事

»もっと見る