2024年12月4日(水)

社会の「困った」に寄り添う行動経済学

2021年6月21日

コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。コロナ禍で外出機会が減る中で、運動不足に悩む、本日の困ったさん。日々の習慣が大事だと、頭では分かってはいるものの……。
盛り上がりに欠けるオンライン会議の運営方法に悩む、本日の困ったさん。対面以上に消極的な姿勢のメンバーに発言してもらうには……。

運動不足解消のために「毎日ランニングをしよう」と決意したのですが、結局、三日坊主になっちゃいました。運動習慣ってなぜ定着しないのでしょう?
 
 
 
 
イラストレーション
石野点子 Tenko Ishino

 最近、コロナ禍のリモートワークで、オンライン会議が増えています。場所を問わず参加できるのは良いのですが、皆が様子を窺い合ってなかなか発言しづらそうな雰囲気です。進行役の勝手が掴めなくて……。

 画面越しだと、対面会議の空気感を再現しづらいですよね。

 オンライン会議の議論を、もっと活発なものに変えたいです。

 会議の発言は、「協力行動」の一種です。実は、協力行動には「フリー・ライド(ただ乗り)」が伴うことが知られています。「他の人が発言するだろうから、自分が率先して協力する必要はないだろう」と人は判断しがちです。でも、全員が同じように考えれば、協力者が0になってしまいます。

 分かります。メンバー同士が遠慮し合って、会話の止まる時間が気まずくて……。

 これまで行動経済学は、寄付からオンライン・コミュニティの運営まで様々な協力行動を題材に、フリー・ライドを防止するための工夫を探究してきました。そこから、オンライン会議に役立つものを紹介しましょう。

 ありがとうございます!

 まずは「サクラ」を仕込む工夫です。すでに発言している人がいると、他の人も発言しやすくなる効果が期待できます。フリー・ライドを助長しそうに思えますが、むしろ誘い水になる効果の方が大きいのです。〝シード・マネー効果〟とも呼ばれ、寄付を集めるためによく活用されています。ただし、サクラの人が話し過ぎると、後の人が委縮してしまうかもしれないので、そこは注意が必要です。

 また、最初の発言者を褒め称えることも有効でしょう。Wikipediaを使った実験では、金銭的価値のない顕彰が掲載情報を継続的に更新するという協力行動を促すことが報告されています。

 対面会議にも通じますが、どんな形であれ、まずは発言を引き出し、同時に褒めることが重要なのですね。さっそく工夫してみよう。次回のオンライン会議が楽しみです!

 ひとくちメモ  シード・マネー効果 
 世界的に有名なアメリカの行動経済学者であるジョン・リスト教授は、大学の研究センターのための寄付集めで、「必要な費用の10%/33%/67%が既に集まっている」と%の数字をランダムに変えた文章を添えて、対象者に依頼文を送信した。
 結果として「たくさんの金額が集まっている」とアピールする方が寄付行動を促す効果が高いことが確認され、67%の手紙は10%の5.6倍もの金額を集めたという。

Wedge6月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■押し寄せる中国の脅威  危機は海からやってくる
Introduction  「アジアの地中海」が中国の海洋進出を読み解くカギ
Part 1         台湾は日米と共に民主主義の礎を築く        
Part 2       海警法施行は通過点に過ぎない  中国の真の狙いを見抜け  
Column    「北斗」利用で脅威増す海上民兵
Part 3       台湾統一  中国は本気  だから日本よ、目を覚ませ! 
Part 4     〖座談会〗 最も危険な台湾と尖閣  準備なき危機管理では戦えない
Part 5       インド太平洋重視の欧州  日本は受け身やめ積極関与を
Part 6       南シナ海で対立するフィリピン  対中・対米観は複雑
Part 7         中国の狙うマラッカ海峡進出  その野心に対抗する術を持て

  
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◆Wedge2021年6月号より

 

 

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