世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月22日

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 ウイリアム・ペリー元米国防長官が、10月4日付のウォールストリート・ジャーナル紙に「一人の人間が核のボタンをコントロールすべきではない。議会は協議を要求すべきである。そうすれば、将軍は世界を救うためにルールをやぶらなければならないことにはならない」との論説を書いている。

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 トランプ政権末期にミリー統合参謀本部議長が中国の党中央軍事委員会の李作成参謀長に2回電話をし、対中攻撃の計画はないと述べたことがウッドワードなどの新刊本『危機』で暴露され、それをめぐってトランプ前大統領、ルビオ上院議員などが反逆行為であるとして、ミリーの辞任、解任を求めている。

 このペリー論説はそういう中でミリーの行動を弁護するとともに、こういう問題が今後起きないように米国の核使用についての決定は大統領のみが行うのではなく、大統領が議会指導者と協議のうえで行うようにすべきであるとの提言をしている。

 核攻撃についての早期警戒システムが誤作動する可能性があり、それに基づき核大国の指導者が核攻撃命令を出すことは文明を破壊する核戦争になるので、ペリーが言うように核攻撃が実際に行われたことを確認したうえで、核攻撃命令を出すということに賛成である。

 これは要するに核の先制使用はやめるということを意味し、米国の核ドクトリン、NATOの柔軟反応戦略を変更することを意味し、その実現にはいろいろな協議が必要であろう。出来れば中露も巻き込んで核の第1使用はしないという合意を目指すのがよい。中国はこれに乗ってくる可能性があるが、ロシアは財政難で通常兵器より核兵器に頼る度合いが強いので、難色を示す可能性があろう。

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