教養としての中東情勢

2021年11月24日

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 しかもEUは、これまで壁の建設に対する資金提供を拒否してきた方針を変更、資金提供に前向きな考えに転じようとしており、国連などはこの動きを懸念している。だが、こうしたEU側の動揺にニンマリしているのは米欧との対決姿勢を強めるプーチン大統領だろう。

「黒幕」プーチン氏の深謀遠慮

 プーチン氏はポーランドのモラウィエツキ首相から「首謀者」呼ばわりされているが、ベラルーシ情勢については「欧米が地域の緊張を高めるために利用している」とルカシェンコ体制を擁護する態度に終始している。専門家の間では、今回の危機はルカシェンコ氏がプーチン大統領の〝お墨付き〟を得て行ったという「プーチン黒幕説」が強い。

 プーチン氏はベラルーシと同様、ロシアにとって死活的に重要な緩衝国であるウクライナに対し、欧米が手出ししているのに我慢がならないでいる。とりわけ、北大西洋条約機構(NATO)が最近、ウクライナ沿岸の黒海で予定外の軍事演習をしたことに「相応の措置を取る。レッドラインが分かっているのか」と反発、ウクライナ国境に大部隊を集結させ、「新たに侵攻する懸念」(米当局者)が出ている状況だ。

 こうしたプーチン氏にとってEUやNATOを動揺させた難民危機は悪い出来事ではない。「プーチンにとってルカシェンコは大きな手駒。ルカシェンコもプーチンという後ろ盾があって初めてEUと対決できる」(専門家)。プーチン氏にとって〝ベラルーシ・カード〟は便利この上ないものなのかもしれない。

  
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