立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2021年12月20日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 
 日本にはびこる、働き方を巡る「なぜ」の正体とその対処を、人事・労務の専門家の立場から解説した著書『「なぜ」から始まる「働く」の未来』(ウェッジ刊)の著者である立花聡氏が、働き方改革の焦点の1つである「社員の個人事業主化」の現状について、その先頭を行く企業であるタニタへのトップインタビューを行いました。その内容を2回にわけてご紹介します。
(Phawat Topaisan/gettyimages)

 会社はなぜ、個人事業主化を求めているのか。その原点と本質的な理由とは何か。

 そして、目的を実現するには、社員と個人事業主という二択だけなのか。その間に「第三の道」はないのか。「第三の道」によって、労使双方のリスクを軽減し、バランスを取っていくことはできないのか……。ここまでが前回「社員の個人事業主化、その理想と現実」の話である。

 次に進む前に、改めて、社員と個人事業主とはどう違うのか。一般論にわたる部分もあるが、「保存版 社員VS個人事業主、全比較表」にまとめてみた。精確な定量化は難しいが全体的にいえば、個人事業主化によって会社が抱え込む主なリスクは、法律面に集中している。一方、社員にとってみれば、メリットもありながら、多様なリスクにさらされることも事実だ。

補完関係と格差

――続いて「格差」について伺います。できる人とできない人、たくさんできる人と少なくできる人の間に、格差がどうしても生じます。これは成果主義に照らして、ある意味で健全といえるかもしれません。

 ただ、日本社会の現状をみると、すぐに社会的に受け入れられるかというと、心情的な問題がありますね。そこで、補正や救済手段が必要になってきます。敗者復活ルールや敗者救済体制の整備など、そういったデリケートな部分になります。

谷田千里社長(以下「谷田」) 弱者の話ですが、会社のなかでいえば「補完関係」になります。たとえば、必要な定型業務があって、あまり高度な仕事ができない人はやはり、定型業務をやることになります。その仕事をする人は高い給料をもらうことはおかしいと思います。

 もちろん、救済はされるべきですが、できる人とできない人は明確に分かれていますので、できない人はそういう仕事をやればいいのではないかと。たくさんできる人の時間をたくさん使わなくても、代理でやってあげられるようなことをその方々がやれば、補完関係が成立します。経済的に組織が回る。私の中には、それでいいんじゃないかな、という割り切り感があります。

 AさんとBさんがいて、Aさんは仕事を取ってきて、Bさんがそのサポートをする。経済学的な合理性がありますから、そこでいわゆる格差が生まれるかもしれませんが、しかたないと思います。弱者の救済という意味では、欧米と一緒で、税金を賄っているのはやはり大半お金持ちの人なので、要するにできる人はたくさん稼いで、その分税金で社会保障を厚くして弱者救済に回せばいいと。

――今仰っていたことは、社会次元ですか、それとも単体企業の次元ですか。

谷田 社会次元です。

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