2024年4月25日(木)

都市vs地方 

2022年1月28日

 もし、その地域での生活維持に必要な財やサービスの水準がこの目に見えないソーシャル・キャピタルの存在によって影響されるとすれば、地域ごとのソーシャル・キャピタルの存在は改めて注目に値することになる。すなわち、いくら就業者が多く、物的な資本に恵まれていても、ソーシャル・キャピタルが小さな地域では結果として実現される地域の資源は制約を受ける可能性がある。

 これは図1の地域AとBの比較で示している。地域Aは労働力も資本設備も恵まれた地域であるが、ソーシャル・キャピタルが1だけしか存在しないため、結果として、労働力も資本設備も地域Aより小さな地域Bの方が社会資本4によって豊かさが大きいと言うこともできる。

日本のソーシャル・キャピタルランク143位という衝撃

 ソーシャル・キャピタルの構成要素に関する国際的な研究事例としては英国のシンクタンクが公表しているThe Legatum Prosperity Index(2021) 「レガタム繁栄指数」があげられる。これは、世界各国の繁栄度(豊かさ)をさまざまな指標から算出して示している。

 この繁栄指標は、①市民を排除せずに社会の一員として取り込む「社会的包摂性(インクルーシブソサイアティ)」、②開かれた経済、③個人に力を与える環境を表す「エンパワードピープル」の3つの分野から構成され、それぞれの分野で、①は「社会的安全性」「個人の自由」「社会の統治」「ソーシャル・キャピタル」、②は「投資環境」「起業しやすさ」「市場へのアクセス」「経済的な質」、③は「住環境」「教育」「健康」「自然環境」と評価項目が提示されている(図2)。

図2 レガタム繁栄指数の構成要素
(出所)The Legatum Prosperity Index(2021)  写真を拡大

 「ソーシャル・キャピタル」は他の社会的安全性、個人の自由、社会の統治とともに①の社会的包摂性を構成する柱として位置づけられている。そして、ソーシャル・キャピタルは表1にあげるような5つの項目で構成されている。


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