2022年8月10日(水)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年3月8日

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島村菜津 (しまむら・なつ)

ノンフィクション作家

東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。卒業後イタリアへ留学。十数年にわたって取材したイタリアの食に関する『スローフードな人生!』(2000年、新潮文庫)が日本のスローフード運動の先駆けとなる。近著に『ジョージアのクヴェヴリワインと食文化』(17年、誠文堂新光社)。
 

「Wedge」2022年3月号に掲載され、好評を博している特集「魚も漁師も消えゆく日本 復活の方法はこれしかない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
日本の流通と食生活の歪みを考え直そうという新たな試みが始まっている (HIROTSUGU KOMIYA)

 農林水産省によれば、2020年の日本の漁獲量は417.5万㌧でピーク時の約3分の1だという。ただでさえ、獲れる魚が減っているにもかかわらず、その実、網にかかりながら流通に乗らない魚がたくさんある。傷みやすい鮮魚は、時に廃棄されることもある。たとえば、東日本大震災後、韓国が岩手、宮城を含む8県の水産物の輸入を禁止したことで行き場を失ったホヤが、16年~18年の間に1万4890㌧も焼却処分されたという。

 そんな魚や海産物をめぐる日本の流通と食生活の歪みを、そろそろ考え直そうという楽しい試みが始まっている。

 東京・丸の内の高層ビルの地下街に「築地もったいないプロジェクト魚治」という人気店がある。小ぶりなサバやホッケの一夜干し定食、究極の海鮮丼といった日替わりのおいしい魚を、国産米お代わり無料で1000円前後で楽しめるのは、市場で値がつきにくい不揃いな魚や売れ残ったマイナーな魚を活用しているからだ。

「魚治」は昼夜ともに盛況である(NATSU SHIMAMURA)

 店長の石井涼野さんは、「例えば真っ白が好まれる白子は途中で傾いて苦玉と呼ばれる部分がつくと緑になり、売れ残ってしまう。うちでは一工夫して『マーボー白子』として提供しています」と教えてくれた。

 この店を経営するのは、香港や台湾を含め飲食店23店舗を展開するMUGEN(東京都目黒区)の代表取締役内山正宏さん。もともとプロの料理人である。

 福井県で生まれ、子供の時、父親が蒸発したことで親戚を頼って小学生のときに川崎市に移住。調理師専門学校を出ると、横浜市のロイヤルパークホテルに入社。一流料理人がひしめく厨房から、魚さばきもみごとなら仕事も早い板前に魅せられ、浅草の老舗料亭「柳橋 亀清楼」に転職。厳しい板前修業を7年間経験した。

 さらに、……

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Wedge 2022年3月号より
魚も漁師も消えゆく日本
魚も漁師も消えゆく日本

四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか

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