2024年12月14日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年3月7日

 ロシアは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻を開始した。ウクライナ戦争は、ウクライナ人の抵抗がどの程度強いか、ロシアにおけるプーチン批判がどのくらい出てくるか、西側の対応がどれくらいのものになるかなど、条件によって帰趨が決まる。

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 ウクライナ人の防衛意識は高いようであるし、国際金融システムSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア排除をはじめとする対露経済制裁が迅速に決まったり、ウクライナへの西側の武器支援が強まるなど、ロシアへの圧力は急速に強まっている。しかし、まだ確定的なことは言えない。

 侵攻については、多くの社説、論説が各紙に出されているが、2月24日付でニューヨーク・タイムズ紙に掲載された、米外交評議会のリチャード・ハース会長の論説‘The West Must Show Putin How Wrong He Is to Choose War’が納得できる。ハースの言う通り、西側はプーチンに如何に戦争を選択したことが間違っているかを示さなければならない。
 
 今度のプーチンのやり方は到底許されるものではなく、国連憲章にも乱暴に違反したことであり、プーチンの狙い通りになることは阻止する必要がある。そのためには、長期戦も覚悟してやるべきことをやっていくということだろう。

 国際秩序や平和維持に責任を有する国連常任理事国であるロシアが武力侵攻という蛮行を行ったのは極めて重大なことである。国際連盟が第2次大戦の発生を防げず崩壊したように、国際連合も崩壊の瀬戸際に立たされているように思える。いずれにせよ、ロシアには国際連合安全保障理事会の常任理事国たる資格はない。こういう政治面でのロシア排除も考えていくべきであろう。

 今回の侵攻は、ロシア自身にとって、長期的に大きなマイナスになり得る。侵攻前に書かれた記事だが、エコノミスト誌2月19日号の社説‘Whether he invades Ukraine or backs down, Putin has harmed Russia’は参考になる。

 同社説によれば、プーチンは戦術的利益を得たとしても、長期的、戦略的には負けている、と指摘する。具体的には、「(西側の制裁を補うため)中国への依存を強めれば、ロシアを中国のジュニア・パートナーにしてしまうだろう。中露の専制主義者の同盟はロシア国内に心理的コストをもたらす」、「プーチンは治安当局者への依存を深め、ロシア国家の他の柱である自由な資本家とテクノクラートの敗北になるだろう」、「停滞と憤激が反対派に蓄積され、それに対しより残酷な弾圧が加えられるだろう」などと指摘する。


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