WEDGE SPECIAL OPINION

2022年3月25日

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加藤 出 (かとう・いずる)

東短リサーチ 代表取締役社長・チーフエコノミスト

1988年横浜国立大学卒業、東京短資入社。短期金融市場のブローカーを務めながら、97年より東短リサーチ研究員を兼務。2002年東短リサーチ取締役、13年2月同社代表取締役社長。著書に『デジタル化する世界と金融』(きんざい、共著)。

 他の先進国が財政健全化を目指す中、唯一取り残されている日本。地政学的リスクなど厳しい現実を直視し、長期的な戦略を議論すべきだ。「Wedge」2022年4月号に掲載されているWEDGE SPECIAL OPINION「政府、分科会、首長よ コロナ対応の転換から逃げるな」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
 「規制は経済や社会、精神的な健康、子どもたちの人生の機会に大きな犠牲を強いる。これ以上その代償を払う必要はない」
 英国のボリス・ジョンソン首相は今年2月21日、新型コロナウイルスに関する規制の全面撤廃をこのように発表した。米国でも3月2日に連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がコロナ危機以来続けてきたゼロ金利政策を終える考えを表明するなど、各国は社会経済活動の正常化に向け舵を切り始めている。
 一方の日本では、またも3月3日に18都道府県のまん延防止等重点措置の延長が発表された。感染者数は欧米に比べて圧倒的に少ないにもかかわらず、先進国の中でまるで日本だけコロナ禍が続いているといえる状況だ。
 この2年間、わが国では新規感染者数の抑制に執着するあまり、日常生活のささやかな幸せが軽んじられ、財政難にもかかわらず信じられないほどのバラマキを続けている。
 政治やマスコミが国民に刷り込んだ新型コロナに対する恐怖感を払拭することは容易ではない。しかし、国民の批判を恐れて世論に阿り、リーダーが決断を先延ばしにしていては、〝ウィズコロナ〟など夢のまた夢だ。
 「宣言とかという言葉でコロナは抑えられない」
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を政府に要請しない理由について、奈良県の荒井正吾知事は1月19日にこのように述べた。今政治に求められているのは、「強い覚悟」と「決断力」でウィズコロナの実現に向けて舵を切ることである。
コロナ禍で惜しみなく支出拡大を続けている日本。いつまで続けるつもりなのか(KYODO NEWS/GETTYIMAGES)

 「財政赤字を出してはいけない本当の理由は、自分たちの子どもや孫、あるいはそれが誰であれ未来の納税者に、私たちが今やりたいことの請求書を付け回すことがフェアではないことにあります」

 米国の財政を監視する独立財政機関、議会予算局(CBO)初代局長で元米連邦準備制度理事会(FRB)副議長でもあったアリス・リブリンは、「I・O・U・S・A」(A・ウィギンほか著、2008年)の中で財政赤字の本質的問題をこのように指摘した。

 国債を長期化させながら借金の返済時期を先送りすれば、今の世代は増税や歳出カットを回避できる。しかしそれは将来世代への「借金のツケ回し」になる。

 赤ん坊が生まれた瞬間に前の世代が作った国の借金を背負わされてしまう現象を「財政的幼児虐待」と財政学者は呼ぶ。急速に人口が減少していくわが国の場合、先行きの1人あたりの「虐待度」は自ずと大きくなる。それが酷くなるにつれ、才能ある若い人々が日本を捨てて出て行く恐れがある。

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