2022年12月10日(土)

新しい原点回帰

2022年4月11日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

専用ソフトを開発して
業界全体のDXに貢献する

 新型コロナウイルスの蔓延で、飲食店などの閉店が相次いだり、テレワークの広がりでオフィスを縮小したりする動きが強まり、設備機器などの引き取り要望が大きく増えた。既存のリサイクルショップなどは新規に売れるメドが立たないため、買い取りを手控えている。

集められたオフィス家具

 そんな中でトライシクルはグループに廃棄物処理の「東港金属」があるため、最終的に廃棄することになった場合でも処分コストが安い。さらに他のリサイクルショップと違い、リアル店舗を持たないことも優位だ。最近では年間の取り扱いが1万2000件くらいに達している。その半分近くが無料回収したものだ。

羽田空港そばの京浜島工場は24時間稼働だ

 トライシクルはこのアプリだけが事業ではない。本格的なIT企業へと育ちつつある。

 廃棄物処理業界は規模の小さい会社も多く、デジタル化はほとんど進んでいない。かといってニッチ産業のためIT大手が業界専用のソフトを開発してくれるわけでもない。そこで、トライシクルが業界向けのソフトを開発して販売することにしたのだ。業界全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化に貢献しようというわけだ。

 開発したのが、産業廃棄物の委託契約を電子化するサービス「エコドラフトwithクラウドサイン」だ。従来、紙で行っていた委託契約を電子化でペーパーレス化。それにより契約書作成の手間や印紙代・切手代などのコストを大幅に削減できる。合意締結では弁護士ドットコムが運営する「クラウドサイン」を利用している。

 創業から120年。4代にわたって続いてきた秘訣は何だと思うかと問うと、「常に新しいこと、面白いことに挑戦するカルチャーではないか」という答えが返ってきた。

 もともと創業した曽祖父は医師・薬剤師の家に生まれながら、独立して故銅の世界に飛び込んだ。その後も本業を大事にしながら、時代の流れに合わせて会社の形を次々に変えてきた。「サーキュラーエコノミー」が世の中のキーワードになる中で、サイクラーズグループはまだまだ変身していくことになるのだろう。

写真=湯澤 毅 Takeshi Yuzawa

  
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Wedge 2022年3月号より
魚も漁師も消えゆく日本
魚も漁師も消えゆく日本

四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか

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