「東京でリサイクル事業をやるという意味を考えた末の結論が、高度リサイクルに進むことだったのです」と語るのは、産業廃棄物処理大手のサイクラーズ(旧東港金属グループ)社長の福田隆さん。
廃棄物処理は一種の装置産業で、広い土地を持つ地方の企業の方に優位性がある。工業地帯とはいえ、東京・大田区という都会にある立地をどのように生かしていくかが大きな課題だったという。
創業は1902年(明治35年)。福田さんの曽祖父が東京・神田で非鉄金属地金を扱う「故銅店」を開いたのがルーツだ。29年(昭和4年)に祖父が社長を継ぐと非鉄金属事業を拡大、回収した金属から銅合金などを精錬する事業を軌道に乗せた。
どうやって
東京の立地を生かすか
廃棄物処理業に本格的に乗り出すのは3代目の父・勝年氏の頃(80年代)。家電リサイクルなどにも乗り出した。ところが2002年にその父が急逝。隆さんが28歳で4代目として社長を継ぐことになった。そのとき、考えたのが「どうやって東京にあるという立地条件を生かすか」ということだった。
大都市東京は膨大な量のゴミを日々排出する。その中から再資源化できるものを選別し、リサイクルに回していく。アルミスクラップや鉄スクラップ、廃プラスチックなど、取り扱い品目を増やし会社を成長させてきた。07年には千葉・富津に大規模リサイクル工場を開設。本社工場の土地の狭さを補う投資に踏み切った。
そんな中で、福田さんはさらなる「高度化」に踏み出す。リサイクルとITを結び付けられないか、と考えたのだ。きっかけは17年。「ディープラーニング」技術の進化で盛り上がっていた第3次AIブームをみて、コンピュータープログラムのコーディングから学べる講座に参加したのだ。