2022年8月18日(木)

新しい原点回帰

2022年4月4日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

松﨑宗平
松崎商店8代目
1978年生まれ。学習院大学卒。グラフィックデザインなどの仕事に従事した後、松崎商店に入社。バンドoysm/SOURのベーシストでもある(写真は、東銀座の本店前)

 東京・東銀座。歌舞伎座前の晴海通りから木挽町通りという路地を入った右手向かいに、大きな暖簾を掛けた店が、2021年7月にオープンした。場所柄、格式張った伝統的な呉服店か何かかと思いきや、どうも雰囲気が違う。

 「丸に一つ松」の紋が染め抜かれた紫色の暖簾は、透けて店の中が見えそうなほど薄手。「はて、何の店だろう」と気になる作りに誘われ、店内をのぞいていく客が後を絶たない。

 ライティングされた外の看板には「MATSUZAKI SHOTEN」。その下に「by 銀座 松﨑煎餅」という小ぶりの文字がなければ、これが1804年(文化元年)創業の老舗「松﨑煎餅」の「本店」だとは思わないに違いない。それくらい店の外も中もモダンなのだ。

 中に入ると、棚には煎餅類が並ぶ。確かに煎餅店だ。あられや草加煎餅のような米菓に加え、瓦煎餅が置かれている。

松﨑煎餅の看板商品である瓦煎餅。店内で販売されるコーヒーと一緒に食べると、ほどよくきいた酸味と煎餅の甘さが驚くほどマッチする。

 実は松﨑煎餅は江戸時代、この瓦煎餅から始まった。シンプルな店内の右手には大きなテーブルが置かれ、カフェスペースになっているほか、歴史の長さを感じさせる写真が飾られている。

昭和30年代前後の松﨑煎餅の店頭

 そんな伝統的な「煎餅店」とはまったく雰囲気の違う新本店をオープンさせたのは、松﨑煎餅の8代目に当たる松﨑宗平社長、43歳。もともとグラフィックデザイン・ウェブデザインの会社などに勤めていた経験を持ち、ミュージシャンとしても活動する異色の経営者だ。

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