#財政危機と闘います

2022年4月12日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 3月中旬に突如として自民・公明両党の幹事長、政調会長らがぶち上げた年金受給者への5000円バラマキはいったん取り下げられた。このバラマキ策の本質的な問題は年金制度、特に現役世代の負担軽減策を骨抜きにすることにあることは本連載「税による買収合戦 年金受給者5000円給付にNOを」で既に指摘した。

(bizoo_n/gettyimages)

 しかし、先程あえて「いったん」と言ったのは、立憲民主党の蓮舫議員の「なぜ高齢者だけなのですか?」という国会での質問に象徴され、コロナ禍で露わになった「バラマキたがる政治と欲しがる国民」の存在があるからだ。実際、立憲民主党の泉健太代表は、「年金受給者への5000円バラマキ」を上回る低所得子育て世帯への5万円給付を打ち出した。今後次の参院選を睨んで与野党入り乱れたバラマキ合戦に突入するだろう。

 では、なぜ政治はバラマキたがり、国民は欲しがるのだろうか?

高まる高齢者の〝政治力〟

 政治がバラマキたがるのはズバリ票のために他ならない。

 政治における高齢者の影響力は、1967年第31回衆議院議員選挙時点の65歳以上投票者数を64歳以下投票者数で割った値を100とすると、2021年の第49回衆議院議員選挙では実に742と7.4倍になっている。更に、総投票者数に占める高齢者投票者数で定義した民意の高齢化指数を見ると、1967年の9.0から2021年では42.2と5倍近くになっている。

 つまり、政治における高齢者の影響力は増大しており、高齢者の民意を最大限に慮れば当選に近づくのは明らかであるから、政党や政治家は、勝手に高齢者の意向を忖度し、バラまくことで票につなげようするのだ。

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