#財政危機と闘います

2022年2月8日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 読者の皆さんは「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺を御存じだろう。

 風が吹けば砂塵が舞って、砂塵が目に入ったため目が悪くなる人が増え、そのため三味線弾きで生計を立てる人が増えるので三味線が売れる。三味線には猫の皮を使うためあちこちで猫が捕まえられてしまい、ネズミが増殖し、増えたネズミによって桶がかじられてしまう。そこで、桶の買い替え需要が生じ、したがって、桶屋が儲かるという内容だ。

膨張を続ける予算規模

 2022年度予算の政府案は107.6兆円と、当初予算案としては10年連続で過去最大を記録している。10年連続過去最大の予算ということは、コロナ禍や景気循環には関係なく、政府の規模が膨張しているということだ。

(elf911/gettyimages)

 予算(政府支出と呼び変えても構わない)については、乗数効果が働くことが知られている。例えば、予算を1兆円増やすと、1兆円以上の国内総生産(GDP)が生み出されるというのが、乗数効果の意味するところである。では、どのようなメカニズムでこのようなことが起きるのだろうか。

 理屈は簡単だ。政府が1兆円使うと、それと同額だけGDPが生まれることになる。政府に財を売却した企業は、その見返りに対価1兆円を政府から受け取ることになる。そしてその企業で働いている従業員は、政府に財を納入するために働いて得たお金で、スマホを買い替えたり、レストランで食事をしたりするだろう。

 こうした金額は消費として新たにGDPに付けくわえられる。さらに、スマホの販売会社やレストランの従業員の給料も増えることになり、スマホの販売会社やレストラン従業員もどこかで買い物をするはずだ。

 このように、1兆円の政府支出の増加は、GDPを直接的に1兆円増やすだけではなく、間接的にもGDPを増やすことになるので、直接・間接の効果を含めればトータルで1兆円以上GDPを増やすことになる。要するに、政府が使うお金を増やすと、風が吹いたかの如く、経済のあちこちに支出と購買の連鎖反応が起きて、結果的にGDPが増える。

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