2022年8月8日(月)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年6月1日

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 「メタバース」は昨今、急速に世間で普及してきた考え方だが、事業化までのスピードが非常に速い。

 「自分の担当や守備範囲ではなくても、なんでもビジネスにつなげて行こうという気風は昔からある。特に営業の担当者にはそういう意識が強い。さまざまなことを見聞きして、事業につなげていくというスタイルだ。

 最近では、新型コロナウイルス対策として机やテーブルにパーティションが置かれるようになったが、反射して相手の表情が見えない、声が聞こえづらいといったことから、ディスプレイ用光学フィルムの製造で培ってきた『超低反射フィルム』を活用して、新しいパーティションを作った。また、リチウムイオン電池の外装材に使われる『バッテリーパウチ』も印刷の材料加工技術が起点となっている。

 その他には、同じ業界で競合しあう会社の印刷物を請け負うことも少なくない。その場合、守秘義務など情報漏洩がないことが絶対条件となる。ここでの取り組みが、セキュリティ事業につながった。各種カードのデザインや印刷から始まって、ICカードを製造して、それにセキュアな方法で口座番号などの個人データを書き込んで生活者に発送するといったこともやっている」

〝決まったモノ〟を売らない形

 印刷技術そのもののイノベーションは今後も続いていくのか?

 「紙の印刷は減っていることは確かだが、紙の印刷物がなくなることはなく、出版を通じてこれからも日本の知を守っていきたい。当然これからも印刷技術は進化していく。『広辞苑』(岩波書店)のように、紙をより薄く、そして見やすい印刷にするといったことは、印刷会社、製本会社、製紙会社、インキ会社の協業で進化させた賜物だ」

 どんな業界、業種とも仕事ができる、と発言されている。

 「取引先は、数万社ある。印刷物さえあれば、どこへでも必ず訪ねていくことができる。そこから新しい事業を生み出すということを長年やってきた」

 新規事業が生まれる土壌として、副業(外部)、兼業、社内複業、そして複線的キャリア形成を推奨している。

 「新卒、中途採用で入社する人もいる中で、魅力があり、時代に合った職場づくりが必要だと考えている。社内複業は1週間に1日程度、他部署に行って、一緒に業務を行うことを通じて、より社内で連携を深めたり、専門性を高めたりすることで新事業の創出につなげるということが狙いだ。

 ただ、ポジションに関係なく、いろんなことに取り組むという下地はもともと社内的にあった。それは、当社の事業は〝決まったモノ〟を売っているわけではないということも関係しているかもしれない。普通のメーカーのように自社製品があってそれを売るという形ではなく、毎回毎回、一品一品受注をしないと売り上げが立たないという部署が多い。例えば、銀行と取引するということになれば、通帳やカードのデザイン、制作にとどまらず、その銀行の看板やノベルティーの制作、スぺースデザインなど、あらゆることを仕事にすることができる。

 社外の副業に関しては全く関係がないような仕事をしている社員もいる。恐竜好きが高じて、恐竜博物館の仕事を手伝うというものだ。今は看板を制作するといったことをしているそうだが、こうした社員一人ひとりの副業での経験が本業にどのように跳ね返ってくるのかは非常に楽しみだ」

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