2024年12月25日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月7日

 ロシア軍が失う戦車その他の装備は補充する必要があるが、その製造に要する枢要な部品の輸入に支障を来す状況になっているとして(Matt Kleinは3月の工業製品の輸入は21年9月から22年2月の平均値の50%減だとしている)、プーチンは負けつつあると論じている。

制裁が致命的なダメージを与えるのか?

 クルーグマンの議論は、一面の真実を伝えており、西側の制裁が効いていることを期待したい。しかし、それが真実の全部かとなると良く分からない。

 中国などから枢要な部品の流入は本当にないのだろうか。時間はプーチンが有しないものの一つだと言うが、戦況を見ると、ロシアが消耗戦で装備を失う前に東南部を制圧する可能性が残されているのではないだろうか。

 ロシアの戦闘能力に直接損害を与えるのは輸入に課せられた制約だとしても、ロシアに対しては長期にわたりその経済を標的とする制裁を維持することが必要になると見込まれる。欧州がエネルギーのロシア依存を脱却する必要もある。国際貿易のポイントは輸入にあるという理屈はよく理解出来ないが、ロシア経済を標的にするのであれば、輸入だけでなく輸出に制約を課すことの重要性を見失うべきではないように思われる。

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